どうしてサッカー・ワールドカップに複数チームが出るの?

 

疑問その二:「どうしてサッカー・ワールドカップに英国だけから複数チームが出るの?」

英国はサッカー・ワールドカップの予選に四チームを送っている。先ほども述べたが、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからの計四チーム。日本はひとつだけ、

「すこいやん。」

と言うことになる。

「サッカー大好き少年だったM君、答えは何でしょう。」

僕は小さいころからサッカー好きの同級生、M君に水を向ける。彼はこんな回答をした。

「英国には四つのサッカー協会があって、ワールドカップなんかが始まるすっと前から存在していました。だから、FIFA(国際サッカー連盟)は四つとも認めざるをえないんです。」

まさにその通り。完璧な回答。さすがM君。

正解:「ワールドカップは国を代表するのではなくリーグを代表する。」

基本的にワールドカップに参加するチームは国の代表と言うより、その国のサッカー・リーグ(サッカー協会と言ってもよい)の代表なのだ。日本のチームはJリーグを運営する日本サッカー協会の代表ということになる。英国には、イングランドの「プレミア・リーグ」を始め、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにそれぞれリーグがあるのだ。だから計四チームが予選に出られるわけ。

 

      

イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの国旗

 

しかし、これまでは、その中で欧州予選を突破して本戦に出られるのは多くて二チーム。最強と言われるイングランド・チームでさえ、最近ワールドカップの本戦では好成績を残していない。同じヨーロッパのライバル、ドイツ、フランス、スペインなどに大きく後れを取っている。ひとつの理由は、イングランドのプレミア・リーグの殆どは、チームを強くするために、外国の選手を高額の金で買い漁り、その結果、イングランド出身の選手がトップリーグでプレーする機会が妨げられていることがある。つまり、日本のプロ野球で言うと、巨人がFA選手を買い漁り、若手が育たないのと同じこと。

「それなら、四チームをひとつにまとめて、『英国代表』を作ったら、もっと強いチームが出来るんじゃないの?」

と誰でも思うだろう。僕もそう思う。オリンピックでは、初めて「英国代表」を送ったし。

その点について、僕は一度サッカー好きの英国人の友人を問い詰めたことがある。

「この際、統一チームでもっと上を狙うという選択肢はないの?」

「イングランドとスコットランドはプレーのスタイルも違うし、選手も互いに仲が悪いし、連合チームを作っても、上手くいかないよ。」

というのが彼の意見。分かったような、分からないような、何か歯切れの悪い回答。でも、日本と韓国が連合チームを組んだら果たして単独チームよりも強くなるか、それを考えると、少しは理解できるような気がする。

 

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