言葉は難しい

 

久しぶりに四人のジジババと孫が集まった。

 

「今日はHさんたちとレストランに行くから。」

ある日、エンゾーを迎えに行く途中、息子が言った。「Hさんたち」とは、嫁のゾーイのご両親である。

「やったあ。今日は、ご飯作らなくていい。」

「任務」から解放された僕と妻は、時間まで孫と遊ぶことにした。ランボルギーニのレゴ、エンゾーにはまだちょっと早すぎた。結局持ってきたお土産を自分で作ることに。

「大人がやっても難しい。」

そこへ、息子がやってきて、爆速で仕上げてしまった。さすが、ベテラン。

夕方六時半に、嫁のゾーイが戻って来たので、車でロバートソン・キーにあるレストランに向かう。車を降りて川沿いに少し歩くと、本日のレストランがあった。その名も「珍宝海鮮」。日本語だと大声で言うのがためらわれるが、中国語だと「ジャンバオ」となる。シンガポールへ来て、絶対食べなければいけないのは「海鮮料理」。魚や海老、蟹の種類の多さもさることながら、料理法も様々で、二重に楽しめる。

レストランの前の屋外のテーブルに、Hさんご夫妻が座っておられた。

「おお、好久不見!(ハオジョウブージェン、お久しぶり」

Hさんと、奥さんのGさんと、肩を叩き合う。息子の結婚式が日本であったとき、結婚式の後の数日、京都を案内した。それ以来、会うのは年一回だが、仲良くさせていただいている。そもそも、中国語を勉強するようになったきっかけも、彼らと話すためである。

「さあて、これまでの勉強の成果を見せるぞ。」

と意気込むが、これが難しい。その日も、隣同士で座り、大汗を掻きながら話をする。

中国人って、すごく早口。嫁とご両親が話している中国語、速すぎて全然分からない。また、中国人って聞く方もすごくせっかち。こっちがゆっくり話し始めると、普通の人には、それをのんびり聞いて理解しようという、精神的な余裕がないのだ。レストランや商店などで、僕が中国語を話し始めて、その結果、僕が中国人でないと分かると、パッと英語に切り替えられてしまう。シンガポールの人は皆、英語も話すからね。

「練習させてえな。」

 難しい言葉と言えば、もうひとつ、理解に苦しんだのが、エンゾーの英語。彼は幼稚園で英語を使っている。それで、こちらが、日本語で話しかけても、Hさんたちが中国語で話しかけても、答えは原則英語である。しかし、彼の英語は「耳で覚えた英語」。英語が母国の娘などは、ある程度理解できと言っているが、元々英語があまり得意でない上に、彼と話慣れていない僕には、理解するのがかなり難しかった。

「でも、エンゾーの英語って、シンガポール風なの。イングリッシュじゃなくて、シングリッシュね。」

と娘は言う。さすが、母国語話者にはそれが分かるらしい。

 

ロバートソン・キー、シンガポールの夜を楽しむならこちら。

 

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