シンガポールでのふたつの日課

 

買ったスイカは結局エンゾーが家まで抱えて帰った。

 

午前九時半にシンガポール、チャンギ―空港に到着。空港には息子のワタルが迎えに来てくれていた。アブダビとシンガポールの時差は四時間。つまり、アブダビ時間の午前四時半に着いた。三日間で二回目の時間差攻撃ならぬ時差攻撃。

「お〜い、パパ大丈夫?」

息子に何回か起こされる。僕は、気を抜いたらそのまま眠ってしまうような状態。息子が昼食にラーメンを食べに連れてくれたが、何を食べたかよく覚えていない。その後昼過ぎにホテルに到着。夕方四時まで昼寝をした。僕は昼間余り眠れない人だが、その日は真剣にというか、夜のように深く眠っていた。

妻と僕がシンガポールにいるときの日課は、孫のエンゾーを幼稚園まで迎えに行き、その後夕飯を作るというものだった。息子は僕たちのために、歩いて十五分くらいのところにホテルを予約してくれていた。彼のコンドには三つ部屋があるのだが、ひとつは夫婦の寝室、ひとつは子供部屋、もうひとつは息子の仕事部屋になっていて、僕たちが寝る場所がない。

その日は四時十五分に息子が車で迎えに来て、エンゾーの幼稚園に向かう。幼稚園に着いて、窓から先生に手を振ると、エンゾーがいつものようにニコニコ顔で飛び出してきた。僕にとっては一年ぶりの再会。サッカーのイングランド代表のTシャツを着ていた。これって偶然?それとも英国から来た僕らに対する心遣い?

「こんにちは、エンゾー君。学校楽しかった?」

彼は自分の行っているところを「学校」と呼んでいる。

 途中、スーパーで買い物をして帰ることになった。エンゾーはスイカが大好きらしく、買ったスイカを自分で抱えて帰った。息子のコンドで、住み込みのお手伝いさんのSさんに再会する。フィリピンから二年契約で来ている、明るい女性である。先ほど、息子のコンドには三つ部屋があり、それぞれ別の目的で使われていると言った。では、Sさんはどこで寝ているのだろうか。シンガポールのコンドには、「メイド部屋」と呼ばれる、二畳くらいの狭い部屋が、玄関か台所の横にしつらえられているのだ。大抵は窓のない部屋。お手伝いさんのいない家庭は、そこを物置にするのだろう。

五時ごろから、妻と僕は夕食の準備にかかった。野菜を切ったりすることは、Sさんが手伝ってくれる。六時半ごろ、嫁のゾーイが帰宅。エンゾーは先に夕食を済ませていたので、四人で夕食になる。

「いただきま〜す。」

日本語を話さない嫁も、それだけは日本語。Sさんは、一緒に食べない。厳格なルールがあるよう。メニューは、豚肉と玉ねぎの炒め物、ポテトサラダ、チンゲン菜の炒め物、春雨サラダ。皆、たくさん食べてくれた。よかった。

 

レゴを土産に持って行ったけど、結局自分で作る破目に。

 

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