金ぴか趣味

 

悪趣味なくらいキンキラキンの「大統領宮殿」。

 

昼前にモスクからホテルに戻る。隣のスーパーで買った「辛ラーメン」と「UFO焼きそば」で昼食。

「このシチュエーションで食べる辛ラーメン、マジ美味し過ぎる。」

午後一時過ぎに仕事を終えたJさんがタクシーで迎えに来てくれ、そのタクシーに同乗して「大統領宮殿」に向かう。

大統領宮殿も、グランドモスクに勝るとも劣らないくらいの壮大な建物。これも、完成が二〇一七年と、かなり新しい。大きさもさることながら、驚くのは、内部が金色に光り輝いていることである。先ほども書いたが、大統領と言っても世襲で、国王のようなもの。ここは「王宮」なのである。

この「金ぴか宮殿」を作るのに、一体、いくら金が費やされたのだろうか。想像を絶する。中東の王様とは、我々庶民とでは、百万倍くらい金銭感覚が違うんだろう。僕は、その豪華さの中に、一種のやるせなさを感じた。

「ここに費やされた金の半分でもあれば、いくつ病院や学校を建てることができるんやろう。どれほど研究開発に投資できるんやろう。」

僕は考えこんでしまった。

 首長国連邦の中で、一番多く石油を算出するアブダビは、超お金持ちの国である。国民の所得税は免除され、医療、教育も無料である。しかし、その「国民」は、現在アブダビに住んでいる人たちの一割程度なのだ。残りの九割は、一割の支配者層に対して労働力を提供する、外国からの出稼ぎ労働者なのである。彼らには、医療も、教育も保証されていない。お金持ちの国と言っても、実際は、低賃金かつ劣悪な労働環境の中で働く、外国人労働者によって支えられ、成り立っている国なのである。

「金ぴか宮殿はやりすぎ。金はもっと他のことに使われるべきや。」

僕は心からそう思った。

 三時ごろ、仕事に戻られるJさんと別れ、僕と妻はタクシーでホテルに戻る。

「ありがとう、Jさん。次は英国でね!」

その日の夜十時にアブダビを発つ、シンガポール行きの飛行機に乗ることになっていたので、夕方七時にタクシーでホテルを出た。

 タクシーの運転手は正に、上で述べた、出稼ぎ労働者の一人だった。エジプトから来ているという。彼は、アブダビでは、エジプトより数倍の金が稼げると言った。彼と話していて感じるのは、彼が「イスラム教が絶対、唯一無知」と考えているということ。自分の宗教や文化に誇りを持つことはよいと思うが、それ以外の者を全て誤りだという考え、それはとても危険だと思う。

 アブダビ空港には、イスラム国であるにも関わらずビールを売っていた。感激!

 

別れる前に、お世話になったJさんと記念写真。

 

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