白いモスク

床にも一面、白い大理石が敷き詰められ、まぶしい。
翌日の午前中は、Jさんの仕事があるため、僕たちは単独行動することになった。目指すは、「グランドモスク」、正式には「シーク・ザイド・グランド・モスク」。アブダビの「必見スポット」の一つだ。結構新しく、一九九六年から建設が始まり、二〇〇七年に竣工したという。作ったのは、もちろん、超々お金持ちの、アブダビの大統領である。「大統領」っていうと、何となく選挙で選ばれたという印象があるが、アブダビの大統領はほぼ世襲。これまで、初代大統領の息子や親族が、歴代の大統領をやっている。「選挙」はあるらしいが、あくまで一族の中での選挙。国民の直接投票ではない。実際は「王国」なのである。ホテルや商店には、現在と先代の大統領の写真が掲げられている。僕はつぶやく。
「国のトップの選び方、国の治め方という意味では、かなり北朝鮮的やなあ。」
九時にタクシーに乗り、グランドモスクに向かう。ドバイにつながる高速道路を二十分ほど走ると見えてきました、グランドモスクが。メッチャ大きな、周囲を威圧するような建物である。グランドモスクのすぐ近くまで来てから、入口に到着するまで、タクシーはまだ十分くらい走り続ける。敷地も、それほど広大なのだ。
妻は今日、長袖のブラウスを着て、長いスラックスを穿いて、スカーフを頭に巻いている。モスクに入るのに、女性は「ドレスコード」がある。肌の見える格好はダメ。男性も、短パン、タンクトップはNGであある。
駐車場でタクシーを降りる。卵方のガラス張りの建物が入り口だという。そこからエスカレーターを降りると、そこが地下のビジターセンター。カフェや土産物屋、荷物検査場がある。ちなみに、予約制で、切符は前夜オンラインで買ってあった。そこから、数百メートル離れたモスクまでは、地下の「動く歩道」に乗っていくのだ。
「そらそやろ、気温が四十五度のとき、外でこの距離を歩いたら、途中で倒れる人続出になんのとちゃう?」
「わあ、タージマハールみたい!」
エスカレーターで再び地上で上がり、モスクを近くで見た僕は叫んだ。実は、僕、タージマハールに行ったことがないのであるが。まあ、きっとこんなのだと勝手に予想して。遠くから見て、あんなにでかかったのであるから、当然、近くで見るとすごく圧倒される。モスクは建物も、敷石も真っ白。白い大理石が貼られている。
「観光客を意識して作られてんなあ。」
そう感じる。モスクであるから、宗教行事の場所である。しかし、アブダビの観光名所にしようと思って作られた意図は明確。いたる所に、「写真スポット」があり、そこに立てば、インスタグラムに載せる写真はバッチリねという感じ。モスクの建物の中は、二千五百人が一斉にお祈りが出来るという。そこに「一枚」の絨毯が敷かれているのだ。当然世界で一番広い絨毯。何から何まで桁違いであった。

色々な国からの観光客でにぎわっていたが、敷地が広いので、それほど窮屈に感じない。