Youは何しにアブダビへ?

「ルーブル・アブダビ」の前の壁画。いかにもアラビアに来たなって感じ。
二〇二五年十月二十五日、午前中仕事をして、午後五時前に妻と一緒に自宅を出発。ヒースロー空港に向かう。空港でのチェックインの際、とんでもないことが判明。手荷物だけの切符を買っていたのだった。
「どおりで安いと思った。」
これから、チェックインするたびに、数万円の荷物預け料を払っていくことに。切符を買った妻はガックリ。しかし、今さら、旅行を中止するわけにもいかないし。
「まあ、勉強代や。これからは、こんな失敗絶対せえへんから、今回はええんやない。」
金のかかる失敗をしてしまったとき、一番落ち込むのは本人。ここで文句を言ったりしてはいけない。
午後十時、エティハド航空の二階建てエアバス三八〇でアブダビに向かう。
「Youは何しにアブダビへ?」
話は今年の八月にさかのぼる。とある日曜日、僕と妻は友人のJさん夫婦を家に招待してアフタヌーンティーを楽しんでいた。Jさんと僕の妻、亡くなった上の娘は、プール友達。毎朝近くの町営プールで一緒に泳いでいて、親しくなったとのこと。知り合いになった後、家も近いし、一緒にトレッキングをしたり、夕飯を食べたりしていた。また、僕はJさんの息子さんの日本語の家庭教師もしていた。家族ぐるみの付き合いなのだ。一年半前、Jさんはアブダビに派遣されることになり、英国を去って行かれた。今年八月、一年ぶりに英国に一時帰国されていると聞いたので、お茶にお招きしたのであった。
アブダビの話に花が咲く。
「面白そう、いっぺん行ってみたいな。」
と僕が言う。
「それはいい。何時頃おいでになりますか?」
とJさんがすかさず畳みかけてきた。その時点で、僕たちのアブダビ行きは、ほぼ決まってしまった。僕と妻は、十月末の学校の秋休みに、シンガポールに行くことにしていた。その途中、アブダビで「ストップオーバー」ができるじゃないか。アブダビで乗り換えるために、エティハド航空を利用しなければならない。結構安く航空券が取れて喜んでいた矢先、それが「手荷物のみ」の切符だと分かったのだった。アブダビでは、一泊することになり、五つ星のホテルが用意されている。そのホテル代は航空会社のサービス。得もすれば損もする。人生、ならせばプラマイゼロなのかも。
飛行機がアブダビに着くのは翌朝七時半。僕は離陸した後、眠ろうと思って、睡眠剤を一錠飲んだ。しかし、英国とアブダビには、時差が三時間あることを忘れていた。アブダビの朝七時半は英国の午前四時半。六時間後、僕はまだ睡眠剤が効いている状態でアブダビ空港に到着した。

ナッツ市場で、ナッツを選ぶJさんと妻。