審判員の数は何人?

 

至近距離から見るプレーは迫力がおまんなあ。

 

このスタンドのないコートの横に立って、試合を見るのもいいもの。選手の表情、一挙一動、声、息づかい、汗までを間近に感じることができる。妻も僕も、毎週末テニスをしている。

「稲妻サーブを受けてみよ。」

「行くわよ、こずえ。」

「オーケー、みどり。」

などと、口では言っているものの、パッコン、パッコンの素人テニスである。しかし、自分たちがやっているだけに、身近にいる選手に親近感を感じる。

ナンバーワンコートに移動するまでに、弁当を食べることにする。会場の一角が「ヘンマン・ヒル」と呼ばれる、芝生に覆われた小高い丘になっている。そこに大きなスクリーンがあり、人々の休憩エリア。そこで僕たちも腹ごしらえ。

一時前になり、ナンバーワンコートで試合が始まるというので、移動する。スタンドに入る。僕たちの席は、ネットの真横だった。結構上の方で、屋根が付いている。雨が降っても安心。選手までの距離は三十メートルくらいかな。一時になり、二人の男子選手が登場し、観客が拍手で迎える。ディミトロフさんと、シモンさん。最初から試合をするのかと思ったが、昨日の試合の続きたった。ナンバーワンコートには照明がないので、午後九時ごろ、暗くなったらそこでお終い。

「続きは明日の心だ〜。」

と小沢昭一さんみたいなことになる。もちろん、雨が降りだしても、試合が翌日に持ち越されることになる。

いきなり試合が始まるのかと思ったら、最初の十分はウォーミングアップだった。最初はふたりのプレーヤーが互いに打ち合うラリー。その後、片一方が高い球を打って、もうひとりがボレーをするという練習。最後はサーブ。この順番は、他の試合でも一緒だったので、決まっているのだと思う。これから対戦する敵同士が、最初は仲良くウォーミングアップをするのも微笑ましい。試合が始まる。サーブの速いのに驚いたことは最初にも書いた。

テレビで試合を見ていると、後ろに、青いシャツと、クリーム色のズボン、あるいはスカートを履いた、おじさんとおばさんが中腰で立っているのが見える。最初は、あれは何をしているのかと思っていた。審判員だったのだ。審判員の数は、ひとつのコートにつき、選手の後ろに三人ずつ、横に二人、それに主審と全部で九人いる。仮に、十九面のコート全てで試合が行われた場合、審判員だけで一度に百七十一人必要になる。審判員は、トイレに行かなくてはいけないし、食事もしなければいけない。それで、二時間に一度くらい交代する。仮に二交代でやっているとしても、三百五十人近い審判員が必要になるわけだ。誰がやってるんだろう。テニスクラブのコーチなんかかな。しかし、それにしては、七十歳近いような審判員や、スポーツとはかけ離れた体型の審判員もいる。

 

選手の後ろに控える、ボールボーイ・ボールガールと審判員。審判員は結構太った人もいる。テニスしはったら。

 

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