ラジオ体操の会の忘年会

 

朝の鴨川畔に三々五々集まる人々。

 

閑話休題。

僕は京都に滞在中、雨の降っていない限り、朝六時に起きて、鴨川まで散歩に行っていた。時差ボケを早く治すには、朝お天道様を拝むのが一番ということを聞いて、それを実行していたわけだ。一度決めたら例外なく実行する僕。着いた翌日から朝六時から七時までの間、鴨川の岸の遊歩道を毎日歩いていた。

最初の日、六時半ごろに北山橋のたもとを通ると、ラジオ体操をする人々が集まっていた。老若男女と言いたいが「老老男女」である。全部で五十人くらい。良い機会なので、参加させていただくことにする。どう考えても、僕だけが格段に「若手」のような気がする。前には三台の携帯ラジオが置いてある。

「新しい朝が来た、希望の朝だ、喜びに胸を開け、大空仰げ〜」

まず、「ラジオ体操の歌」を唄う。その後「ラジオ体操第一」と「ラジオ体操第二」を続けてやる。真剣にやると、これって結構の運動量になる。汗ばむくらい。僕たちのグループは、鴨川の西岸でやっていたのであるが、お向かいの鴨川の東岸でも三十人くらいの人々がラジオ体操をやっている。一通り終わったあと、その場を去ろうとすると、

「ウォ〜!」

という声が。驚いて振り向くと、西岸の人々と東岸の人々が、エールの交換をしていた。

 日曜日の朝から参加して、三日目、火曜日の朝のことだった。体操が終わったので行こうとすると、

「ちょっと、そこのお兄ちゃん。」

と一人の男性に呼び止められた。還暦の僕をつかまえて「お兄ちゃん」はないと思うが。ともかく、そう呼ばれても可笑しくないほど、僕はそのメンバーの中では若輩者であった。

「忘年会やるんやけど、良かったら参加しはりませんか?」

というのが用件で、男性は僕に一枚の紙をくれた。家に帰ってその紙を読んでみる。

「忘年会のご案内、鴨川ラジオ体操会 世話人 田中某、

錦秋の候、鴨川の木々も色づきはじめました。早朝から毎日ラジオ体操に元気に参加されている皆様に心より敬意を表します。今年も恒例の楽しい忘年会を計画いたしましたので、多くの皆様のご参加をお待ちしております。云々・・・」

そこまでは良かった。僕はその後の忘年会の日時を見て、ギャッと叫んでしまった。

「日時:平成291127日(月)12:0014:30

つまり、ラジオ体操に参加されている方々は、月曜日のお昼に集まれるような方、平たく言えば定年退職したご隠居さんとその奥さん。道理で僕が「お兄ちゃん」と呼ばれるわけだ。

「会費:4200円、フリードリンク(ビール、日本酒、焼酎、ジュース、ウーロン茶)カラオケ付」

月曜日のお昼からガンガン飲んでカラオケ(!?)僕もそんな身分に早くなりたいもの。

 

六時半、昇る朝日を浴びてラジオ体操が始まる。冬でも真っ暗な中でやっておられる。

 

<次へ> <戻る>