タラコパスタ

 

タラコパスタ。まあまあ美味しかったが、娘の作ったやつには負ける。

 

息子の会社のオフィスを出た後、歩いてチャイナタウンへ。しかし、その辺りから、何となく頭がボウッとしてくる。散歩中に行くということで、トイレに行きたくなったらいけないと思って朝から水分を控えた。それがよくなかった。曇り空とは言え、歩いていると結構汗をかいたみたい。それで脱水症状になったわけ。慌てて「セブンイレブン」に入り、冷えたミネラルウォーターを買い、それを飲んで少し冷房の中で涼む。暑い土地では、水分の補給が必須とは頭では分かっていても、普段涼しいところに住んでいると、それが習慣にならないんだよね。

息子は、その日昼からサッカーなんだって。それに先立ちカフェで昼食。息子はカロリーの補給。僕は飲み物だけ。息子はタラコスパゲティーを頼んでいる。少し食べさせてもらった。

「この程度やったら自分で作れる。」

真ん中の娘がうちへ来て、ときどき辛子明太子スパゲティーを作ってくれるけど、そちらの方に軍配が上がる。ものによってはプロに勝てる、というお話。

息子はサッカーへ行き、妻と僕は「リトル・インディア」に行った。要するにインド人街だ。正直言って、チャイナタウンもリトル・インディアも、感激するようなものじゃなかった。それは、ロンドンにも中国人街とインド人街があり、同じような光景に見慣れているから。ロンドンの西にサウスホールという町があるのだが、そこの大通りを車で通ると、両側がずらりとインドの店で、道行く人は殆ど全部がインド人。

「おいらは今どこにおるのだ。」

と思ってしまう。規模と密度で言えば、シンガポールのインド人街のほうはよっぽど西欧的。日本に住んでいる人たちには面白いと思うけど。

その日は昼から結構暑くなり、リトル・インディアを歩いているときは、汗ダクダクと言う感じ。コンドに戻ってプールサイドで涼んでいると、息子が帰ってきた。暑い中での九十分間のサッカー、お疲れ様。彼もプールに飛び込んで人心地ついている。その日の夜は、「ディン・タイ・フォン」という店へ「ディム・サム(飲茶)」を食べに行った。そこでショーロンポー(小籠湯包)なんかを食べた。

「これなら、いつも真ん中の娘と行ってる、コリンデール(北ロンドンの地域)のディム・サムの方が美味しいやん。」

と思った。しかし、後で友人に聞くと、その店は世界展開している、はメチャ有名なチェーン店だという。ロサンゼルスでは二時間から三時間待ちの店なんだって。

息子のコンドに戻って数えてみたら、その日は七回タクシーに乗っていた。これは僕の生涯の中でも記録ではなかろうか。タクシーと言っても「ウーバー」というキャブで、携帯から呼ぶと、最寄りの車が来てくれるという、日本でいう「白タク」。でも、もちろん合法的。シンガポールは東京都二十三区ほどの面積しかない。車は台数を制限するために目玉の飛び出るくらいの税金が掛けられているとのこと。でも、全然自家用車の必要ない街だ。

 

リトル・インディアを歩くサリー来た女性。思わず振り返るほど美しい人がいる。

 

<次へ> <戻る>