孫との再会

 

わあ、歩けるやん。子供の成長は速い。僕は昨年からどこが変わっただろう。

 

Day 2

十一時ごろにホテルに戻り、眠れないなと思いながら横になっている。一瞬目を閉じて目を開けたつもりだったが、時計を見ると三時過ぎだった。三時間余り眠ったらしい。次に目を覚ますと九時だった。

翌朝九時半ごろにワタルたちのマンションに行く。ワタルは家にいた。今週は僕たちのために休暇を取ってくれているという。十カ月ぶりに孫のエンゾーに会う。

「うわあ、大きくなったねえ〜。」

彼は、朝の「お昼寝」から覚めて、おやつのアボカドを食べていた。食べさせているのは、ナニー(養育係)として住込みで働くフィリピン人の女性、ペリンさん。一歳の誕生日を二か月過ぎ。重くなっただけでなく、背も高くなっている。「おちょぼ口」は相変わらずだが、顔も細くなってきている。手をつないでやると、少し歩ける。

正午になり、ワタルと妻と三人で、ホーカーセンターに昼食に行く。ホーカーセンターとは屋台村。屋根の下に、いろいろな食事を売る、間口が三メートルくらいの店が並んでいる場所。実に色々な食事が売られている。中華料理も四川や広東など色々、マレーシア料理、日本料理、ベトナム料理、タイ料理、イタリア料理に、フィッシュアンドチップス、ステーキまである。ワタルのおすすめの料理を買う。飲み物は、サトウキビを絞ったという「シュガーケーンジュース」。スルメの入ったラーメンが美味い。実際、シンガポールは、僕のような麵好きにはたまらない場所だ。食事の後、散髪に行くというワタルと別れ、バスに乗って妻とワタルのマンションに戻る。

午後遅く、エンゾーを連れてマンションのプールに行く。冷たい水が気持ちいい。シンガポールでは、ちょっとましなマンションには必ずプールがある。ワタルのマンションのプールは五十メートル。英国で、普段行っている町営プールの倍の長さ。妻とジャグジーに行く。ジャグジーには中国人の六十代の女性が二人、三メートルほど離れて話している。シンガポールは国民の八割が中国系なので、英語と並んで、結構マンダリン(北京語)が通じる。しかし、おばさんたちの声、でかすぎ。このおばさんたちに限らず、中国人は、とにかく声が大きい。中国人には電話は要らない。ふたりのおばさんの会話、方言がきつく、何を言っているのか殆ど分からない。

「あんた、ツォングオレンか?」

と話しかけられるが、それが「中国人」(チョングオジェン)であることが、十秒ほど考えて、やっとわかった。

「いや、ジューバンジェン(日本人)だ。」

と答えておく。何故中国人は声が大きいのか。理由にはいろいろあるだろうが、北京語には四種類のイントネーション「四声」があり、それを口を大きく開けて、はっきりと発音しないと意味が通じないからという理由に挙げる人が多い。

 

旧アエロドーム・ホーカーセンター。日本の料理もあるが、さすがに食べる気はしなかった。

 

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