囚人番号二四六〇一番

 

ジャン・ヴァルジャンは出獄したものの、働き口も見つからず、路頭に迷う。

 

物語は、ツーロンの刑務所のシーンから始まる。「囚人番号二四六〇一」ジャン・ヴァルジャンは、十九年間服役した後、恩赦を得て出獄する。しかし、元囚人の彼に対する世間の目は冷たい。職にも就けず腹を空かしたヴァルジャンはディーニュ司教の家出一宿一飯の恩義を受ける。ヴァルジャンは、司教の家から、銀器を盗んで逃げるが、すぐに警察に捕まってしまう。しかし、司教は、ヴァルジャンと銀器を前に、

「これは私が友人にプレゼントしたものだ。」

と述べ、ヴァルジャンを警察官の手から救い出す。彼は、司教の厚意に感謝し、その後「まともに」生きていくことを誓う。

八年後、ヴァルジャンはモントルイュ・スール・メールの町で、マドレーヌ氏と名乗って生きていた。かれは工場を経営し成功を収め、市長に選出されていた。彼の工場でファンティーヌという女性が働いていた。シングルマザーである彼女は、他人に預けている自分の娘に送金をしていた。しかし、その事実が他の工員たちにばれてしまう。その結果彼女は工場をクビになり、娘に送金する金に困った彼女は売春婦に身を落とす。このときファンティーヌが歌うのが「夢やぶれて」だ。

彼女は客のひとりとトラブルを起こし、警察に捕まる。そこを通りかかった、マドレーヌ市長、つまりヴァルジャンは、ファンティーヌを捕まえた刑事ジャヴェールに頼み込み、彼女を釈放させる。そのとき、ひとりの男が暴走した荷馬車の下敷きになる。ヴァルジャンは恐るべき力でその馬車を持ち上げ男を助ける。ジャヴェールはそれを見て、八年前恩赦の途中に行方をくらませたジャン・ヴァルジャンも怪力の持ち主であったことを思い出す。ジャヴェールはマドレーヌ市長の正体はヴァルジャンではないかと疑い始める。

おりしも、逃亡中のジャン・ヴァルジャンと思しき男が捕らえられたというニュースが入る。それを聞いたヴァルジャンは法廷へ出向き、自分こそが本当のヴァルジャンであり、今捕らえられている男は無関係であることを告げる。胸を開け、

「私が『囚人番号二四六〇一番』だ。」

と番号の刺青を見せながら。

ヴァルジャンは死の床にいるファンティーヌを訪れる。彼女は残していく娘コゼットのことをヴァルジャンに頼む。彼女を看取った後、ジャヴェール刑事が現われ、ヴァルジャンを逮捕しようとする。ヴァルジャンはファンティーヌの娘を捜し出すために三日だけ猶予をくれと頼むが、ジャヴェールは承知しない。ヴァルジャンはジャヴェールを椅子で殴り倒して逃げる。

テナルディエ夫妻の営む宿屋では、幼いコゼットが働いていた。夫妻は自分の娘エポリーヌを猫可愛がりする反面、コゼットを奴隷のようにこき使っていた。ヴァルジャンは水汲みに来たコゼットを見つける。彼はコゼットを連れてテナルディエ夫妻の前に現われ、言われるがままの大金を支払い、コゼットを連れ去る。

 

「夢を夢見て」(邦題、夢破れて)を歌うファンティーヌ。