トラムライド

町を走るレトロな路面電車。何十年走ってるんだろう。
プラハへ来て三日目、最終日である。英国にいるときは、睡眠に問題がある僕だが、ここ二晩は、よく眠れている。自分の家にいると、一日中色々な予定がある。仕事をしたり、ドイツ語や中国語の勉強をしたり、ピアノの練習をしたり、ウェートトレーニングをしたり、散歩をしたり、食事の準備をしたり・・・常に、計画に沿って生活している。その結果、眠るときも、どこかで翌日の段取りを考えている。こうして、旅に出ると、生活のパターンがグッと単純になる。よく眠れるのは、そのせいかも知れない。
朝七時半に朝食をとりにレストランに行く。そのときだけでも、二十人くらいいたので、結構たくさんの人が宿泊しているようだ。朝食を済ませて、八時ごろ外に出る。今日の目標ナンバーワンは、「トラム」、「路面電車」に乗ること。行き先はどこでもいい。終点まで行って、同じ番号の電車に乗れば、ここに帰ってこられるはず。切符は、昨日の午後四時ごろ、中央駅に行くときに、「二十四時間切符」を買ってある。今日は、切符を買い直す必要がない。僕は最初に来た、「三番」の電車に乗った。一応、旧市街の方角に行く電車を選んだ。
「うっひょう、これは面白い。」
電車は、間もなく旧市街に突入し、昨日ツアーで廻った、カフカの銅像や、ユダヤ人街を駆け抜けていく。電車の中から見ると、視点が変わって面白い。「三番」の電車は、カレル橋の手前で、モルダウ川の河畔に出た。橋は渡らないで、手前の岸を、ずっと川に沿って走っていく。二十分ほど走って、終点に着いた。そこで、反対方面の電車を待つ。プラハのトラムに乗っていて、とても面白いのこと、それは車両がバラエティーに富んでいることだ。メッチャ近代的な車両と、最低五十年は使用されていると思われる、レトロな車両が、混ざって走っている。
十時頃、再びホテルに戻る。チェックアウトを済ませる。
「これから王宮まで行こうと思うんですが、何番のトラムに乗ったらいいんですか。」
とフロントのおばさんに尋ねる。
「すぐそこから、『一九四番』のバスが出てます。それに乗ると、王宮に一番近い所まで行けますよ。」
僕は、今度はバスに乗ってみることにした。おばさんに言われた当たりまで来たが、バス停がない。パン屋があったので、店に入って、パン屋のおばさんに
「一九四番のバスに乗りたいんだけど、どこから乗ればいいんですか?」
と聞いてみる。おばさんは、左の方に数百メートル行けという。確かにそこには、「一九四」と書いたバス停があった。十分ほどして現れたバスは、二十人くらいしか乗れないマイクロバス。始発なので座れる。バスは走り出し、最初の停留所に停まった。さっき僕が停留所を聞いたパン屋の真ん前だった。
「おばちゃ〜ん!」

これはモダンな車両。次、どんなのが来るのか、待っていると楽しい。