岡本さんありがとう

王宮の正面。衛兵が固めている。
「すみませ〜ん、写真を撮っていただけますか?」
僕は今回、沢山のひとに頼んだ。僕は一眼レフのカメラをずっと携えていたが、普通の人には操作が難しいので、いつも、スマホを渡して撮ってもらっていた。頼むときは、「いかにも観光客」という人を選んだ。
「ありがとう、じゃあ、今度は私がお撮りしましょうか。」
という風に、話を持っていけるからだ。写真を撮ってもらった後、
「どこからおいでになったんですか?」
とよく聞いた。カレル橋で写真を撮ってもらったのは、ご夫婦だった。例によって、
「どこから来られたんですか?」
と英語で尋ねる。
「カナダのトロントです。きみは?」
「日本です。」
と答えると、
「今年から、日本人のオカモトさんが『ブルージェイズ』に来てくれて、ガンガン、ホームランを打ってくれてるんです。オカモトさんを連れてきてくれてありがとう。」
とお礼を言われた。僕に礼を言われても困るんだけど・・・でも、日本人として、同胞が海外で活躍しているという話を聞くのは嬉しいものだ。僕からも言いたい。
「岡本さん、ありがとう。」
カレル橋を渡って、ダラダラ坂を登っていく。息を切らせて、一番上に着くと、そこは広い石畳の広場だった。右側には王宮があり、バッキンガム宮殿のように衛兵が立っている門がある。時計を見ると午後四時を過ぎている。さすがに三時間以上ずっと歩いて、最後は坂を登って、足が疲れていた。王宮を見るのは明日に延ばすことにする。
王宮のゲートの横に、「エホバの証人」の男女が立っていた。二人とも四十歳くらい。僕の母も「エホバの証人」で、母に見せてもらったのと同じパンフレットがスタンドに並んでいる。もちろんチェコ語であるが。ちなみに、チェコ語というのは、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語をかじったことのある僕でも、全くその意味が想像すらできない言語。幸い、プラハでは、若い人が皆英語を話してくれるので、コミュニケーションには困らなかった。
「日本にいる僕の母も、『エホバの証人』なんです。これと同じ本を日本語で、母に勧められて読みました。」
僕はその男女に英語で話しかけた。その後、僕は二人と十分くらい聖書について話した。男性はマシューさん、女性はパオリーンさんという名前だった。別れ際、二人は言った。
「お母さんによろしくね!」

突如として黒い雲が・・・この後、激しいにわか雨になる。