逆方向民族移動

十何年ぶりに人前でカラオケを歌いました。癖になりそう。

 

休暇でヨーロッパのリゾートホテルに泊まったとき、ガーデンパーティーの余興で「カラオケ大会」がありました。英国の、私の会社のクリスマスパーティーでも、カラオケがありました。しかし、それらはあくまで、パーティーでの「余興」なのです。日本のカラオケボックスのようにそれに特化した場所もありません。つまり、所詮添え物なのです。しかし、日本では、ひとりでカラオケボックスにこもって歌っている人がいると聞きます。つまり、日本ではカラオケが座を盛り上げるための「手段」ではなく、「目的」化していると言えると思います。

私たちの子供の頃は「お正月」と言うと皆が家で過ごすのが普通でした。父があるホテルの支配人をしていた時、年末年始、従業員を故郷に帰すために休んでいました。しかし、時代は変わり、最近は、「お正月」をホテルやリゾートで過ごす人が増えているようです。私たちが泊まったホテルの従業員に聞くと、大晦日から三が日には満室とのことでした。ホテルもその間は普段よりは高い「特別価格」で商売をしますので、この時期は大事な稼ぎ時なのでしょう

一月三日の朝、雪は止んで、太陽が顔を出しました。部屋の窓を開けると、木の枝に厚く積もった雪に太陽に輝いています。欲を言うと、もう少し気温が低く、湿り気の少ない雪なら、木の枝に桜の花が咲いたようで、もっと美しかったと思います。朝食前にまた義父と大浴場に行きました。そしてまた露天風呂。キラキラと輝く雪を見ながら風呂に浸かるのも良いものです。結局僕はどのような状態でも、風呂に浸かっていれば幸せなのでしょうけど。そして朝食はまたズラリと並んだご馳走。しかし、もう食べ過ぎて堪忍して欲しいって感じです。しかし、昨夜食べ過ぎて苦しいとか言っていた甥や義父は、一夜明けてまた新たに食欲を回復した模様です。

朝食後部屋に戻った私は飽きもせず、また「箱根駅伝」の中継を見てしまいました。義母は、外でお土産を買ってくると言って出て行きましたが、余りにも雪が深く、目的は果たせなかったようです。十一時ごろ、部屋を出て、ホテルの前で記念写真を撮った私たちは、金沢へ向かいました。雪を頂いた山を見ながら、雪原の中の道を走るのは気持ちの良いものです。

金沢へ戻った私たちは、昨夜から家の前の道路に積もった雪の片づけを始めました。しかし、食べ過ぎの身体には、これが結構良い運動、腹ごなしになるのです。天気予報によると、これで雪は一段落、天候は回復に向かうようです。義父母の家の向かいにあるF医院のドクターも私たちと共同作業で、道路の雪を片付けておられます。

夕方になって、妹のもう一人の息子、もうひとりの甥が、私たちに会いに来てくれました。ボーリング場に勤めている彼は、人々が休みの間が稼ぎ時、ずっと仕事をしていたそうです。その夜、私たちは近くの「焼肉店、ジャパニーズ・バーベキュー・ハウス」に夕食に行きました。

 翌朝、妻よりは一日早く、私は一足先に京都に戻ることになっていました。六日間義父母の家に滞在したことになります。結婚して日本を発ってからこんなに長く金沢にいたことは初めてです。義母と妹の見送りを受けて、京都に向かう列車に乗り込みました。義父も駅まで送りに来てくれたのですが、駐車場に車を停めている間に、発車の時間になってしまったのです。列車は、休暇が終って、地方から都会へ向かう人たちで満員でした。隣は小さな男の子を連れた若いお母さんで、お母さんが忙しい時など、その男の子は私の膝の上で結構くつろいでいました。子供は本能的に、子供好きの人を察知するようです。そうです、私は子供が好きです。

 

温泉を出てこれから金沢に戻ります。日の当たった雪がまぶしい朝です。

 

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