鯖街道

 

広報部長のTくんが、即座に写真をFaceBookにアップ。「やめられまへんな〜」とのコメント付き。

 

今日僕たちが通ってきた、京都から、八瀬、大原を通り、福井県の小浜に抜ける道は、「鯖街道」(さばかいどう)と呼ばれている。昔は、若狭で獲れた鯖に塩をして、一昼夜かかって京都まで運んだという。そうすると、京都に着くころには、ちょうど良い塩加減だったとか。若狭から京都までは約五十キロ。山道を重い魚を背負って一日で歩いたのだから、昔の人のスタミナには恐れ入る。

 「鯖」と聞くと、僕は何時もフランスを思い浮かべる。別に、フランスで美味しい鯖を食べたからではない。フランスに居ると、やたらと「サバ」という言葉が耳に入るから。

「ボンジュール、サバ?」

「サバ、ビアン、メルシー。」

山を下りた僕たちは、車で朽木という部落にある「道の駅」に向かう。女性陣が、

「アイスクリームを食べたい。」

と言い出したからである。下山を始めたのが十二時過ぎ。二時間足らずで降りてきたので、まだ二時頃。朽木の「道の駅」の名物は「鯖寿司」。山の中の名物が魚というのも、妙な感じがするが、上に書いた歴史的な背景があるためだ。僕も鯖寿司を一本買う。道の駅の裏を流れている安曇川の畔で休憩し、アイスクリームを食べる。僕は初参加なので、皆から、特に女性陣から質問が飛んで来る。多かったのは、

「僕のあだ名の由来は?」

「僕の妻が何人なのか?」

「将来どの国で暮らすのか?」

二番目の質問に、「一応日本人」と答えると、

「何故『一応』なの?」

と、次の質問が飛んできた。

 「道の駅」の前で三台の車が別れる。

「またすぐ会えるといいね。」

と何人かが言ってくれる。また参加したい。僕と一緒に来た五人は、またGくんの車で京都へと戻る。例によって、前をトロトロ走る車にGくんがイラついている。僕が、余りにも日本人としての常識を知らない質問をするので、M隊長が、

「おまえ、いっぺん日本に帰って来て住めよな。」

と呆れている。Gくんの家からはHさんの車。家に帰ったらまだ三時半だった。

「今日は山に登るので、結構遅くなると思うよ。」

と言って家を出たので、母は驚いている。でも、本当に気持ちの良い日だった。

 夕食に、僕が買ってきた鯖寿司を食べた。魚もご飯も、薄味で美味しかった。さすがに名物だけのことはある。京都滞在中、母と僕は一日交替で夕食を作っていた。今日はその例外。そして、翌日も筋肉痛はなく、僕は散歩とラジオ体操に出かけることが出来た。

 

紅葉もボチボチ始まったという感じ。やはり台風のせいで、今年は余りきれいな紅葉は期待できないというのが巷の噂。

 

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