スイーツ部長

 

集合場所に到着、出発を待つメンバーたち。木の葉もボチボチ色付き始めている。

 

「同窓会山岳部」には幾つか役割があることを知った。まだあるのかも知れないが。

隊長:Mくん、行先を決めて、パーティーを先導する

事務局長:Gくん、参加人数を把握、集合時間、配車の段取り。

広報部長:Tくん、写真を撮り、参加者に公開する。サイクリング部会の部長でもある。

宴会部長:Yさん、忘年会等、飲み会を企画する。

スイーツ部長:Jくん、参加者に、手作りのスイートを提供する

部員には、メーリングリストが作られていて、ひとりが情報を発すると、残りの全員がメールを受け取れるシステムになっている。十月に入ってから、僕のところにも、沢山のメールが届き始めた。まず、M隊長が十月二十一日の行先を「蛇谷ケ峰」に決定。それを受けて、義務局長のGくんが、参加者の把握と、集合場所への段取りを始める。参加者は女性七人、男性は僕を入れて六人。僕は北大路堀川のバス停で、七時半にHさんの車にピックアップされ、Gくんの家に集合。Gくんの車で、集合場所の登り口まで行くことになった。

スイーツ部長のJくんからは、「栗の渋皮煮」を人数分作っていきますからという連絡が入っていた。男性がスイーツ部長とは珍しい。Jくんとは、高校卒業以来、一度も会っていない。つまり四十数年ぶりの再会ということになる。歩きながらJくんと料理について話をする。僕も料理が趣味。でも、主に和食、中華料理が専門で、ケーキやスイーツは苦手なのだ。

「どうして、スイーツを作り始めたの?」

Jくんに尋ねる。

「中学の頃、お母さんに、誕生日にケーキが欲しいと言ったら、『自分で焼け』と言われたの。それで自分でレシピを読んで、分量を量って、作ったのが最初。」

しかし、自分で作れとおっしゃったお母様も立派だが、自分で作ってしまったJくんもご立派。ちなみにJくんのご職業は電気のエンジニアだとのこと。ともかく、彼が頂上で全員に配った、「栗の渋皮煮」は、とても素人が作ったものとは思えなかった。大きくて、ムッチリしていて最高!

 天気がちょっと心配だった。木曜日、備中高梁では天気が良かったが、その後、前線が近づいてきていたから。しかし、前線は急ぎ足で通り過ぎ、土曜日の夜の天気予報を見ると、翌日は近畿地方どこも「晴れマーク」、降水確率ゼロパーセント。

「やったあ。」

 当日、Hさんの車に拾ってもらって、まず西賀茂のGくんの家へ。彼の車で、M隊長はじめ五人で出発する。八瀬、大原、途中と山間を走る。この辺りは北山杉の産地だが、八月の台風の爪痕は深く、杉の木が数多くなぎ倒されて、山の中腹に引っかかっている。鞍馬へ行く電車はまだ一部不通だし、トレッキングコースにも倒木が多いらしい。まだまだ完全復旧には時間が掛かりそう。

 

左から、広報部長、スイーツ部長、隊長、事務局長、宴会部長、「幹部」の面々。

 

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