日本人とドイツ人どちらが保守的?

 

「天神さん」の前、外人のおじさんが写真を撮っていた。この後、鳥居をバックに撮ってあげた。

 

 三月七日、日曜日、七時半に起きる。前にも書いたが、僕は朝起きのよい方だと思う。しかし、どうもロンドンにいるときのようにすっきりと起きられない。日本に着いてから十日以上経ち、もう時差ボケは治っているはずなのだが。何となくすっきりしない気分。

 昨夜も船岡温泉に行った。ドイツ人がひとり来ており、大学のドイツ語教師だという彼とドイツ語で話す。彼は、

「日本人は伝統を変えようとしない。」

と主張する。一枚の書類にあっちこっちでハンコを貰わなければ話が進まない。非合理的、非生産的だと思っても日本人はそれを変えようとしないと彼は言う。僕は、

「どちらかと言えば、ドイツ人の方が保守的だと思う。日本人は、『新しい物は良い物だ』という信仰があり、次々と新しいものを取り入れていく民族だと思う。でもドイツ人はいつもこれまでのやり方に固執する。」

と言った。このふたりのギャップはどこから来たのか。後で思いついたのだが、彼の勤めているところは大学。学校と言うところは、きっと僕がこれまで働いてきた民間企業とは随分違っていて、メチャ保守的な世界なのかも知れない。しかし、ドイツ人議論好きだ。どこでも、たとえ風呂の中でも議論を始めてしまう。でも、サウナでこんな議論を延々やっていたらのぼせて倒れてしまうかも。

 今日も小雨。気温も低い。日本へ来て暖かい気候を期待していたのに、これではロンドンと変らない。

九時から十一時までチズコ叔母のところでピアノを弾かせてもらうことになっていた。その後、阪急電車松尾駅前でイズミと落ち合い、イズミとヨーコと僕という、高校の陸上部のメンバーで昼食をとることになっていた。先にも書いたように、ヨーコとは高知でも会っている。京都に「留学中」の息子さんがおられ、学校の面談があるので今週末は京都に来ておられるとのこと。

 九時に着くように十五分前に家を出たのだが、道に迷い(情けないが、さすがに京都を出て二十五年のギャップは大きい)チズコ叔母の家に着いたのは九時十五分だった。お茶をご馳走になり、それから一時間半、久しぶりに集中してピアノを練習する。十一時に今度はコーヒーをご馳走になって叔母の家を辞す。

 次は午後一時までに阪急電車松尾駅へ着けばよい。松尾は名勝嵐山のすぐ近くだ。京都市内から嵐山へ行くには三つの方法がある。ひとつはバス。もうひとつは京福電車、通称嵐電(らんでん)。三つ目は阪急電車、京都線で桂まで行きそこから嵐山線乗り換える方法。僕は、京福電車、嵐電を選んだ。イズミが、僕は絶対に阪急電車で桂から来ると思っている「フシ」があるので、変な方向から現れて驚かそうという寸法。

叔母の家のある小山から嵐電の乗り場の北野白梅町までは少なく見積もっても五キロ。ひたすら歩く。小雨だが、傘を差すほどではない。千本通りから今出川通りを曲がり、北野天満宮の前を通る。「天神さん」では今「梅祭り」の最中。賑わっている。

 

「梅電車」の看板の掛かっている嵐電。北野白梅町駅で。

 

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