働く仲間

 

昼休み散歩の途中の一枚。やたら平らで地平線が見える場所。

 

水曜日、ドイツへ来て三日目。ドイツ滞在中、僕は昼休み、オフィスの小さな台所で、インスタントラーメンを作って食べていた。朝飯もホテルで結構たっぷり食べるし、夕食もレストランで外食なので、昼食は軽く済ませることにしたのだ。「軽く」と言っても、インスタントラーメンはそれだけで四百キロカロリーくらいあるのだが。ごく普通のラーメンも、ドイツ人の同僚達は珍しいらしく、

「おっ、美味そうだね。」

などと言いながら見ていく。ちなみにラーメンの丼は僕が二〇〇〇年に働いていたときに持って来たもの。

「よくぞご無事で。」

ラーメンを食べた後、いつも二十分ほど散歩をした。同僚の女性、ブリギッテも昼休みに散歩するのが日課らしく、彼女と何度か出会い、一緒に話をしながら歩いた。

「散歩の他に、何か身体を動かすことしてる?」

と彼女に聞いてみる。すると「ブール」というスポーツというか、ゲームをしているとのこと。何でも、金属の球を地面に投げて遊ぶのだそうだ。そう言えば、フランスへ行ったとき、公園でフランス人がそんな遊びに興じているのを、見たことがある。

ブリギッテはいつも飄々としていて、「真面目な顔で冗談を言う」、なかなか面白い女性だ。コピー機で帳票のサンプルをスキャンしたが、その画像の送り先に普段ドイツで働いていない僕は登録されていない。それで、一度ブリギッテに送って、彼女から僕に転送してもらうことにした。

「今、コピー機から、画像の添付されたメールがきみに行くはずなんだけど、それを僕に転送してくれない?」

「あっ、今着いたわ。『添付書類付きで転送』、『添付書類なしで転送』、ふたつオプションがあるけど、どっちがいいの?」

彼女は真面目な顔をして聞いてくる。僕は一瞬戸惑い、次に笑い出した。メールは画像が添付書類として貼り付けてあるだけで、それ以外は全く「空」なのである。

ドイツのオフィスは昔働いていたせいもあって、皆が僕を「仲間」として取り扱ってくれる。

「ヘクショイ!」

僕がくしゃみをすると、新人のユルゲンだけが、

「ゲズントハイト。」(お大事に)

と言ってくれる。しかし、カロラなどは、

「気にしなくていいのよ、モトは『アルバイト・アレルギー』なんだから。」

と手厳しい。「アルバイト・アレルギー」とは、日本語に訳すと「働くことへのアレルギー」という意味だろうか。

 

カロラと並んで。貫禄負けしている。