名古屋へ
神宮外苑のイチョウ並木。色づいたらきれいだろうな。
五時にHさんと別れ、また風呂に入る。夕食はロンドンで元同僚だったCさんと、彼女の息子さんAくんとホテルの近くのタイレストランで食べることになっていた。Aくんは大学の一年生。ハーフで、なかなか整った顔立ちの、優しい青年である。僕は今年度学校で、十五、六歳の生徒さんを担当していた。Aくんを前にすると、何となく自分の生徒の相手をしているような気分になり「先生口調」になってしまう。
彼は秋からドイツのケルン大学に留学予定。
「僕の息子も一年間ケルン大学に留学していたから、後輩になるんだね。で、ドイツ語は?」
今を特訓中だという。でも、苦労しているよう。
「日本語の助詞を基にした、ドイツ語の冠詞の分かり易い覚え方」
などについて説明。久しぶりに会ったお食事会の話題じゃないよね。
食事の後、三人で赤坂見附の駅まで歩いたが、東京に住む彼らも、
「この辺り、飲み屋と食べ物屋が本当に多いわ。」
と感心していた。
「ほら、見て見て、あそこに『セーラー服のおばさん』がいる。」
「わあ、ホントだ〜。」
赤坂見附駅でお二人と別れる。
東京では、誰かと会うことを、順番にこなしていく感じ。三日目の午前中は「アンナちゃん」という「若い女の子」と会うことになっていた。昔ロンドンで僕の家に住んでいたYくん、三か月前に女の子が産まれたのだ。Yくん、奥さん、そして娘さんに会うというのが、今回の東京行の第二の目的だった。ホテルをチェックアウトした僕は、地下鉄で北千住という所まで行く。そこから東武鉄道に乗り換え、梅島という町に着いた。随分遠くまで来たような気がする。
Yくんの家で、アンナちゃんを抱く。
「うわあ、軽い!」
僕の孫のエンゾーはもう三歳。何となく彼と比べてしまうので、すごく軽く感じる。赤ちゃんを抱いていると、赤ちゃん独特の匂いがして、心が落ち着く。
Yくんの家を正午ごろに辞して、東京駅に向かう。今回は更にもう一つ「旅の目的」があるのだ。その場所は、名古屋。そこで、大学の陸上部の駅伝チームの仲間と会うことになっていた。午後一時半に新幹線に乗り、三時ごろに名古屋駅に着く。電車の中で眠ってしまったが、何とか名古屋の直前で目が覚め、「起きたら終点新大阪」という事態は避けられた。約束の時間は、「銀の時計」の前に、五時。まだ早いし、外は結構暑いし「コメダコーヒー」でこの旅行記を書いている。
赤ちゃんといると心が落ち着く。