次回に期待

残念ながらガスがかかっていて、眺望はイマイチだった。
全長千四百メートル、所用時間約十分のケーブルカーの終点は、半月型の展望台だった。展望台の中には、エスカレーターがある。一番上まで行くと。湾の眺望が開けた。今日の眺望はイマイチ。ガスがかかっていて、湾や、それ取り巻くビル群は霞んでいる。
「次回に期待、次は夕方に来よう!」
そう思うが、この年齢なので、「次回」があるかどうかは分からない。頂上辺りに遊歩道もあり、散策も出来るらしいのだが、結構寒いし、眺望が良くないし、霧も出てきたので、僕はまたケーブルカーで降りて、ホテルに戻った。
昼過ぎ、来た時の逆コース、タクシー、高速鉄道で空港に戻る。時間があったので、またラウンジに行ってみる。
「おいおい、ここはファミレスかよ。」
空港のラウンジって、ビジネス客がフカフカのソファに座って、静かに過ごすってイメージ。しかし、その日は、春節の数日前ということで、やたらと若い人と、子供連れが多かった。それらの人々が「ただ飯」に群がっているんだかから、うるさいし、落ち着けないし、座る場所もない。仕方なく、僕はビールをもらって飲み干した後、搭乗口の前のベンチに座って中国語のポッドキャストを聞いていた。一瞬眠ったのだろう。目を覚まして、パニックになりそうになる。
「ここはどこ?私は誰?」
自分がどこにいるのか、直ぐに思い出せないのだ。「自分は香港空港の搭乗口で、関空行の飛行機を待ってるんだ」三十秒くらいして、記憶が蘇り、ちょっと落ち着く。今回の旅行で、この「ここはどこ?私は誰?」状態に何度なったことか。
午後六時半、関空行の飛行機は無事出発。隣の一人旅のインド人の女性と、お互い一人旅の気楽さで少し話をする。香港から大阪の三時間なんて、ロンドンからホンコンの十二時間に比べると一瞬である。出された晩飯を食って、「麻雀ゲーム」の半荘を二回やったら、飛行機はもう淡路島の上に来ていた。定時の九時十五分に到着。関西空港駅から京都駅の特急の終電は十時十四分。関空は、パスポート検査とか、荷物の受け取りがスムーズ―なんで、
「一時間あれば楽勝!」
と思っていた。荷物を待っているとき、お腹が痛くなり、僕はウンコをしにトイレへ行った。済ませて帰って来ると、僕のスーツケースだけが、コンベアの上を回っていた。慌ててそれを取り、税関を抜け、駅まで走る。
「京都、大阪方面の特急の最終が間もなく発車します。ご乗車の方はお急ぎください。」
と駅員がハンドマイクで呼び掛けている。切符を買っている時間もなかったので、駅員から証明書をもらい、何とか最終の「はるか」に飛び乗り、僕はその日のうちに京都に着くことができた。

ケーブルカーの車窓から見ると、建物が斜めに見える。