大学町ダーラム

 

ダーラムの石橋の掛かる川、大聖堂をバックに。ピートの土壌のため、川の水は黒い。

 

ダーラムに着く直前、ダーリントンという町にさしかかった時、ふたりとも目を覚ました。

「後十五分くらいで着くから。」

と僕が言う。

「あら、意外と早いのね。」

と妻。そりゃあ、眠っていたら早いわね。

二時半ごろに「ダーラム」と書かれた標識に従い高速道路を降り、インターチェンジの脇の「パーク・アンド・ライド」に車を停め、シャトルバスで街に向かう。

十分ほどでバスはダーラムの旧市街に入り、マーケット広場の近くで僕達はバスを降りた。少し行くと川の畔に出た。そこからの景色は、何度も写真で見たものだった。

ダーラムは古い街、教会と城は世界遺産に指定されている。しかし、町全体が、史跡と言ってもよい。川が流れ、川の両側には鬱蒼と木が茂っている。その木々の間から、古い城と、教会、街並みが見える。また、ダーラムの街全体が大学であると言ってよい。大学の学部(ファカルティー)、学寮(カレッジ)が、街に点在している。石畳の道の両側に、古い石造りの家々が並んでいる。あるものは少し傾いている。そして、街には若者が多い。僕は、昔住んでいたドイツの大学町、マーブルクと似ていると思った。

石畳の道を歩いて、スミレがお世話になる「セント・ジョンズ・カレッジ」に着く。大聖堂のちょうど真下。カレッジの玄関から中に入ると、掲示板に新入生全員の顔写真が貼ってあった。スミレの顔も見える。その前に座っていた、ステッフという二年生の娘が、新入生の「お世話係」らしい。彼女がカレッジの中を案内してくれた。

古い建物で天井が低い。中はちょっと迷路のよう。ステッフは最後にスミレの部屋を見せてくれた。二人部屋、結構広くて日本式に言うと二十畳はある。中庭に面したフレンチウィンドーの付いた、なかなか気持ちの良さそうな部屋だ。ドアを見ると、スミレの名前の下に「シャーロット」書いてある。シャーロットという娘と部屋をシェアするらしい。

「彼女、鼾をかかないかしら。」

と心配性のスミレが、早くも心配を始めた。

 ここで、英国の大学における、「カレッジ」の意味について少し説明をしておこう。ケンブリッジ、オックスフォード、ダーラム等の古い大学では、「学部」(ファカルティー)の他に「学寮」(カレッジ)という単位がある。学生は、各カレッジに属して、文字通り寝食を共にすることになる。「ハリー・ポッター」の映画の「ホグワース魔法学校」にあった、「ハウス」を想像してもらえばよい。ひとつのカレッジには、文学部、理学部、工学部などの色々な学部に通う学生が暮らしている。教授も学部と共に学寮に属しており、学寮に戻ればそこの学生の面倒を見るわけだ。部活、サークルもカレッジ単位のものがあるという。そして、同じカレッジで学んだ者の団結は、非常に強いものであるらしい。

 

新入生お手伝い係りの上級生と話すスミレ。ステッフのピンクのタイツが可愛い。

 

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