送別カードのイラスト

 

これが写真を基に描いた絵。人物の配置が変わっていて、全体が少しオレンジがかっている。

 

今回、絵を描き終わる度に、それをSNSに投稿した。この試みは今回が初めて。現在、コロナ禍で、演奏会の機会を失った多くの音楽家が、ユーチューブなどのSNSを使って、音楽を発表している。僕の姪に当たる二人のお姉さんたちも、毎週連弾の曲をユーチューブに載せておられる。それを聴くのが楽しみ。僕のピアノの師匠、Vさんも、最近、日曜日の午後にリサイタルをライブで配信しておられる。

「それと同じことができないかなあ。」

僕は考えた。そして、僕は絵をフェースブックに載せることにした。

「どうせ描くなら、ひとりでも多くの人に見てもらいたい。」

「露出主義」と言われるかもしれないが、そもそも、音楽や絵をやる人は、それを聴いてほしいから、見て欲しいからやるのだと思う。自分で描いた絵を、誰にも見せずに隠しておく、そんな人いるのかな?

僕は、正直、自分の描いた絵の反響に驚いた。僕も含めて、殆どの人はSNSに写真やエッセーを載せる。そこに絵で殴り込みをかけたらどうなるか、ひとつの実験だったが・・・写真を載せたときの二倍から三倍の反響があったのである。単なる「いいね!」を貰っただけでなく、コメントも沢山いただいた。この反応の多さと、皆さんからのコメントは、僕の背中を押してくれている。

さて、フェースブックの僕の「友達」の中で、僕が「絵を描く人」あることを知っていた人が少数だがいた。それは、僕が二年前まで働いていた英国の会社の同僚だった。日系の会社なので、日本人の派遣社員の方が大勢働いていた。結構出入りが多く、毎月のように、離任する方の送別会と、着任される方の歓迎会がった。送別会には寄せ書きのカードを贈る。そのカードに、僕は何時も、その方の似顔絵を描いていたのだった。そんなこと、すっかり忘れていたのだが、今回、元同僚のIさんからいただいたコメントにそのことが書いてあって、思い出した次第。

一度、すごく仕事が忙しいときに寄せ書きのカードが回って来た。僕は、短いコメントだけ書いて次の人に渡した。その数時間後、社長秘書のIさんがカードを持って僕の席にやって来た。

「モトさん、イラストが描いてありませんよ。」

「ごめん、今忙しいもんで。コメントだけ。」

「それは困ります。前回のXさんのときは描いたでしょう。今回のYさんに描かないと、不公平になります。」

わあ、叱られてしまった。僕は仕方なく仕事を中断し、Yさんの似顔絵をカードに描いた。

 ホース・サンクチュアリの「お友達」は皆僕の絵に驚いたよう。これまで僕は、勤勉なボランティアの一面しか英国人の同僚に見せていなかったから。彼等は異口同音に言う。

「一度馬の絵を描いてよ!」

京都の絵を十枚仕上げたら、十一枚目は馬の絵にしようかな。

 

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