名犬ラッシーの世代

 

コブレンツでの「おしっこ休憩」で、デートレフとエヴァルト。

 

火曜日、いつものようにホテルの周囲の森の中を散歩したあとで出社する。月曜日はドイツだけ休みで、英国や他の国の支店は開いていた。それで仕事が溜まっていて結構忙しい。メールを開けるが、父親の病状に関するメールはマユミからも姉からも入っていない。

その日は仕事を終えた後、デートレフの家に夕食に招待されていた。六時ごろ退社し、近くのデパートで上着を買う。七時にノイスという町にあるデートレフの家に着く。奥さんのビアンカと息子さんのセドリックと四人で、バルコニーで夕食。そこは二階だったが、デートレフは最近三階に自分でバルコニーをもうひとつ作ったとのこと。昨日のジギのみならず、ドイツ人は自分で何でもやってしまう人たちだ。

デートレフと水泳とサイクリングとジョギングの違いについて話す。僕は、心臓の手術以来、水泳とサイクリングはできてもジョギングはできなくなった。その原因について、同じくスポーツ好きのデートレフと分析を加える。

帰り道を間違えた。デートレフの家からの帰り道は、今まで何十回も通り、間違えるはずはないのだが、何故か今回は間違えてしまった。アウトバーンをメングラとは全然反対の方向に乗ってしまう。そんなときに限ってUターンできるインターチェンジがなかなか現れず、ほとんどケルンまで行ってしまった。

水曜日の朝、デートレフ、カロラ、エヴァルトと四人でメングラを発ちフランクフルトへ向かう。運転するのはデートレフ。途中でカロラが提案した「ピピパウゼ(おしっこ休憩)」を一度取った以外、高速道路をひたすらフランクフルトに向かって走る。

十時半頃にフランクフルト支店の倉庫に到着。そこのスタッフと打ち合わせが始まる。事務所だけでなく倉庫のスタッフとも話さなくてはいけないので、何度か階段を昇り降りして倉庫と事務所を往復する。ドイツとしては結構暑い天候。重量級のカロラと倉庫長はフーフー汗をかいている。

夕方ホテルに到着。ホテルの前は森になっている。

「モトの散歩に便利なようにこのホテルを取ったんだ。」

とデートレフ。本当かな。四人で、テラスで夕食を始める。フランクフルト空港に近いので、上空を着陸する飛行機が次々と通過して行く。

カロラはグイグイとビールを飲んでいる。エヴァルトは酒を飲まない。エヴァルトが先に席を立ち(その後彼はプールで泳いでいたらしい)その後、カロラとデートレフと僕という昔の同僚三人で話をする。しばらくして僕も眠くなり、十時には部屋に戻り眠る。

木曜日、デートレフの期待と好意に応えて朝森の中を散歩する。六時を過ぎたとたん、上空を大きな旅客機が次々着陸して行く。まだ時間があるので、プールですこし泳ぐ。

食堂にいるともう三人はもう朝食を始めていた。最後エヴァルトとふたりになった。彼は新しいので年齢を知らない。でも彼は、子供の頃「腕白フリッパー」「名犬ラッシー」を楽しみに見ていたという。と言うことは、国は違っても僕と同じ世代なんだ。

 

今日の仕事は終わった、これからは飲む時間。カロラと。