エピローグ、乾いた国と湿った国

 

アブダビ行、エティハド航空の二階建てエアバス三八〇。三席独占で、横になって行けた。

 

シンガポールを出た飛行機は、午後十一時半にアブダビに到着。ロンドン行の飛行機が出るのは、午前二時四十五分なので、三時間くらいアブダビ空港で待つ。シンガポールではもう早朝である。眠いけど、ここで眠っちゃいけない。アブダビ空港は、やたらに深夜発着の飛行機が多く、真夜中過ぎなのに、一時間に十本以上の便が発着し、ターミナルは昼間のように混み合い、店やレストランは普通に開いている。

 僕と妻は、旅行を振り返っていた。

「アブダビとシンガポールって、結構似てると思わない?」

「そうそう、両方とも、近代的で、高層ビルがいっぱいあって。」

「それと、清潔で、安全で。」

「サービスもいいし。」

実際、両方とも、深夜一人で歩いても、全然問題ない。Jさんによると、アブダビでは落としたり、失くしたりした物が、殆どの場合見つかって戻って来るという。

「どっちも、メッチャお金の匂いがして。」

「メッチャ人工的で、拝金主義で。」

「独裁国家で。」

まあ、両方とも、安心して旅行できるという点では、いい場所なんだろうな。

「両方とも同じような気温で・・・」

「・・・でも感じ方は随分違うわね。」

二つの場所とも、気温は二十八度から三十二度の間だった。しかし、同じ三十度でも、湿度の高低で、全然感じ方が違うということが、今回改めて分かった。アブダビの方が、グッと過ごし易いのだ。「乾いた国」と「湿った国」、今回は、そんな意味では、正反対の場所を訪れたとも言える。

「ボチボチ二時や。行こか。」

僕と妻は、ロンドン行の飛行機の出るゲートに向かって歩き出した。

 

深夜二時のアブダビ空港。昼間と何ら変わらない。

 

<了>

 

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