忍者屋敷侵入

中学校で開かれた同窓会に集まった人々。通りがかったお兄ちゃんを呼び止めて撮ってもらった写真。

 

 今年、二十年ぶりのハイスクールの「スクール・リユニオン、同窓会」を企画したって言ってたよね。でも、企画だけして、自分はインドに戻れなかったので参加できなかったって。でも、散り散りになっている同級生に声を掛けて、先生方にも声を掛けて、オーガナイズするって、大変な仕事なんだってね。今はメールやソーシャル・ネットワークがあるから、昔に比べれば、幹事さんは楽になったと思うけど。

土曜日に「ジュニア・ハイスクール、中学校」の同窓会があったの。この同窓会、何と毎年開かれている上に、「授業」、「ホームルーム」、「給食」、「課外活動」があるという、すごく凝ったもの。「先生」がちゃんと「授業」をするの。授業はこれまで、僕たちが教わった先生方によって二時限行われてたんだけど、さすがに先生方もお歳を召され、授業をするのが無理な方も増えてきた。それで、今年は地理のS先生の授業が一時限目を受け持ち、二時限目は同級生の、例のノーベル賞を取りそこなったO教授がすることになったの。S先生は、「京都の通りの名前の由来」について講義をされ、O君は「クロマトグラフィー分析」の話をしたの。どちらも面白かったよ。

同級生というのは何年経っても、前置きなしで話せるのでいいよね。沢山の同級生が、英国に一度行ってみたいと言う。でも、皆仕事や家族があって難しい、なかなか機会はなさそう。それだけに、実際に誰かが来てくれると本当に嬉しいもんだね。

日曜日、Mさんという女性から昼食に誘われていた。彼女が予約した場所が何と「忍者屋敷レストラン」。Mさんは通訳と翻訳が仕事なんだ。だから、外国人のお相手をされることが多い。最近外国の方になぜか「ニンジャ」や「サムライ」の人気があって、

「ニンジャに会える場所に連れてって。」

などと無茶をいう人も現れかねない状況らしい。え、「ニンジャ」って何って。説明が難しいなあ。サムライに雇われて、スパイ活動やサボタージュや暗殺を請け負う、まあ「日本版〇〇七、ジェームス・ボンド」みたいなものかなあ。黒い服装をして、とんでもないスピードで走ったり、壁とかによじ登ったりするの。ともかく、Mさんが、最近京都に出来た「忍者屋敷レストラン」の下見をしようと思ってたところに、僕が英国から帰って来たってわけ。

「独りではちょっと恥ずかしくて行けないから、モト、付き合ってくれない。」

ということでした。

その日の正午「京都のピカデリー・サーカス」、四条河原町と言う場所で会って、ふたりで「京都のソーホ」、新京極にあるそのレストランに出かけたの。その場所は、僕が子供の頃はその場所は映画館だった。店の前に、怪しげな黒装束の若い女性がいて、

「ご予約の方でござるか。」

なんて、訳の分からない日本語で尋ねてくる。

「そうでござるよ。」

とこちらも変な日本語で答えてしまう。僕らともう一組、お爺ちゃんを連れた家族連れが一緒に案内された。入り口から階段を下りて地下に行くのだが「狭い、暗い、手すりがない」。前にいるお爺ちゃんは苦労している。Mさんと僕は同時にささやいた。

「ここ、年寄りの来るところじゃないね。」

 

学校なんで授業もある。授業をする同級生のO君、いやO教授。

 

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