桃太郎線

停車時間にウドンで食事。駅で食べるウドンやソバって何故か美味しいよね。

 

十四時二十六分、新大阪着。

朝七時にサンドイッチを食べて以来何も食べていないので、何か腹に入れることにする。しかし、鹿児島中央行きの「さくら」の発車まで三十分足らずしかない。ゆっくり食べている時間がない。駅の中のフードモールで「掻き揚げうどん」を注文する。自分の入った写真がないので、隣でやはり「掻き揚げうどん」を食べていたヨーロッパ人のおじさんが食べ終わったのを見て、写真を撮ってもらう。

「どこから来られたんですか?」

と聞いてみると、スイスのチューリヒで、これから広島へ向かうところだと言う。少しドイツ語で話をする。温かいうどんが美味い。

食べ終わると発車まで十分を切っている。慌てて、「さくら」の出発するホームへ向かう。さっき写真を撮ってもらった男性と階段で会った。

「同じ列車なんですね。偶然ですね。」

と言い合う。四号車に乗り込む。通路を歩くとき、また彼と会った。

「同じ車両だったんですね。」

偶然は続く。

 

十四時五十九分、新大阪発、「さくら五六一号」。

「さくら」はJR西日本の車両である。JR西日本の偉いところは、JR東日本が座席を一列当たり五つにしているのに対して、四つにとどめているところだ。したがってJR西日本の車両の座席はぐっと広く、飛行機のビジネスクラスのよう。大阪から博多へ行くならば、JR東日本の「のぞみ」より、西日本の「みずほ」、「さくら」を利用されることをお勧めしたい。車両の客は半分くらいが外国人。その英語のアクセントと、脂肪の付き具合から、米国かカナダの人だと思われる。

 

十五時五十五分、岡山に停車。

列車が着く前に、乗り換えの案内があるが、岡山に着く前に

「桃太郎線にお乗換えの方は・・・」

という案内があった。

「え、『桃太郎』?!」

といぶかしく思う。時刻表をめくると、岡山から備中高松を経て総社に向かう「吉備線(きびせん)」にそんな愛称が付いているらしい。「吉備」、「きびだんご」、だから「桃太郎」。

山陽新幹線も、東北新幹線に劣らない「トンネル新幹線」である。新大阪を出て六甲トンネルに入って以来、半分くらいトンネルの中を走っている。

 

「さくら」は新大阪、鹿児島中央間、911キロを、5時間で走破する。

 

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