マレーシアも美味しい

 

イーストコースト、沖合にシンガポール海峡を通行する船の列が見える。

 

Day 3

シンガポールでの最大の楽しみは食べること。美味しいものが沢山ある。僕は余り胃腸が丈夫でないので、食べ過ぎないように注意しなければ。シンガポールで美味しいものを食べ続けようとすると、一日二食でちょうどいい。

「明日来るとき、ジュー・チャット。ロードの『ディクソン』に寄って、『ナシレマク』を買って来てくんない?」

と前夜ワタルが言った。それで、三日目の朝、ホテルを出て、ワタルのマンションとは逆方向に歩き出す。十分ほど歩いて、ジュー・チャット・ロードの角を曲がる。この通り、両側にショップハウスが並んでおり、その多くが食べ物屋になっている。何でも食べられるという便利な通りだ。いくつかの店は地元の人に超人気、「行列のできる」店が沢山ある。今日これから行く店は、小さなテイクアウトの店だが、人気があり、昼近くに行くと、一時間近く待たされるとのこと。それで、息子が、僕たちに、早目に行って買って来くるように、頼んだのだった。

 十時過ぎだったので、まだ店の前に行列はない。直ぐに買えた。ナシレマクは、マレーシアの国民食だという。ココナッツミルクで炊いたご飯。それに、僕が買ったやつは、鶏と小魚の唐揚げが付いていた。ご飯は、ココナッツの風味はもちろん、スパイスの味がして、カリカリした鶏や魚と一緒に食べると、とても美味しい。今回、マレーシア料理を数回食べたが、どれも口に合った。僕の北京語の先生、「老師」は、マレーシア出身の二十六歳のお姉さん。いや、お嬢さんである。シンガポールから帰って、

「マレーシア料理も結構美味しいね、」

と言うと、今度、彼女がロンドンに来た時には、一緒にマレーシア料理に行くことになった。  

夜は、イーストコーストにある海鮮料理、「珍宝海鮮」(ジャンボー・シーフード)に行く。このレストランには、クリスマスにも一度来ており。「甘いソースのかかったカニ」と「チョコレート風味のスペアリブ」が美味しかったことを覚えている。エンゾーを寝かせてから、ワタルとゾーイ、僕たち夫婦の四人で出かける。行きはタクシー。辺りが暗くなり、イーストコーストの沖には、無数の船のライトが一列に並んでいる。

今日も、カニとチョコレート風味のスペアリブ、その他、いっぱい食べた。帰りは歩いて帰ることに。夕方は少し風があったが、すっかり凪いでしまった。気温は二十九度くらい。ワタルのアパートに着いたころには、汗で、シャワーを浴びたように濡れていた。途中、ワタルから、英国のリズ・トラス首相の辞任を聞く。彼女は一体、何日首相の座にいたんだろう。一か月半?その半分は、エリザベス女王の死去による服喪期間だったので、彼女が首相として采配を振るえたのは三週間ほどだったと思う。明日は雨だろうか。雨の前は特に蒸し暑い。シンガポールはボチボチ雨季を迎えている。

 

甘いソースのかかった立派なカニ。残ったソースは、左側の揚げパンに絡ませて食べる。

 

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