インゲル・フリマンソン

Inger Frimansson

1944年〜)

ゴットランド出身、作家、ジャーナリスト

 

スウェーデンのオンライン書店、Novellixのフリマンソンのページより。

 

 ウィキペディア、スウェーデン語版の、「インゲル・フリマンソン」の項を要約すると、以下のようになる。(1

「インゲル・フリマンソンは、一九四四年、バルト海に浮かぶゴットランド島で生まれ、スモーランド、ヨンショーピングで育った。彼女は幼いときから、書く喜びを発見し、一九六五年、高校を卒業時に、ジャーナリズムの色々な企画に応募している。その後、フリマンソンはジャーナリストとして活躍するが、作家としては遅咲きで、四十歳になって初めて、最初の小説を出版している。それ以来、彼女は数多くの探偵小説、心理スリラー、短編小説、詩、そして子供や若い人たちのための本を出版してきた。一九九八年の、犯罪小説『グッドナイト マイ・ダーリン(God natt min älskade)』で彼女はブレークを果たし、それにより、『スウェーデン推理作家アカデミー賞』を受けている。彼女は二〇〇五年に『水の中の影(Skuggan i vattnet)』で二回目の受賞を果たしている。一九九八年から、彼女はフルタイムの作家として活動している。フリマンソンのスリラーは犯罪者の心理が主に描かれ、プロットや、犯行の描写、犯人犯罪者探しには余り重きがおかれない。彼女は一九六八年にヤン・フリマンソンと結婚、ストックホルム近くのスーダーテイリエに住み、二人の成長した子供がいる。」

 上記にも述べられているように、フリマンソンの真骨頂は、心理描写である。二〇〇〇年に書かれた「猫は死なず(Katten som inte dog)」は、偶然人を殺してしまった「普通の女性」の物語である。(2) 成り行きからそれを隠すことになってしまい、彼女は自責の念に悩む。読者は、彼女が埋めた死体が、そのまま発見されずにすむということは、物語の展開上あり得ないことを知っている。読者の興味は、死体が誰によって、何時発見されるかということに向けられる。その女性、ベスの心の動きが、実に巧みに描かれる。また、殺人を通じて「普通の女性」が「冷酷な人間」に変わっていく過程も見物である。ベスは、常に「誰か」が自分の埋めた死体を発見し、警察が自分の家のドアの呼び鈴を鳴らすこという幻想に苛まれる。そして、次第に、自身を守るためには、第二の殺人をも厭わない性格へと変化を見せるのである。

 タイトルにある「猫」であるが、一匹の猫が、ベスが若者を殺すのを目撃する。もちろん猫は話をするわけではない。しかし、その猫が物語の中で、ある程度の役割を演じることは予想できる。「猫の恩返し」がいかに行われるのか、それもこの物語の興味の一つである。

 フリマンソンの小説は、一章が恐ろしく短い。そう言った意味ではページがどんどん進んで読み易い。しかし、その記述は極めて細密で、あったことを全て書き綴った日記を読んでいるような気がする。それで、ちょっとイラつく面もある。ともかく、心理の襞(ひだ)を描かしたら、この人の右に出る人はいないという作家である。

 フリマンソンは、子供向けの本も書いており、それらも翻訳が各国で出版されている。

 

作品リスト:(犯罪小説のみ)

l  Handdockan (手人形)1992

l  Fruktar jag intet ont (悪いことは怖くない)1997

l  God natt min älskade (グッドナイト マイ・ダーリン)1998年(邦題:グッドナイト マイ・ダーリン 悪女ジュスティーヌ 1、集英社文庫、2011年)

l  Mannen med oxhjärtat (牛の心臓を持つ男)1999

l  Katten som inte dog (猫は死なず)2000

l  Ett mycket bättre liv (はるかに良い生活)2001

l  De nakna Kvinnornas ö (裸の女性の島)2002

l  Mörkerspår (夜の歌)2003

l  Skuggan i vattnet (水の中の影)2005年(邦題:シャドー・イン・ザ・ウォーター 悪女ジュスティーヌ 2 、集英社文庫、2011年)

l  Ligga som ett O (Oのような嘘つき)2007

l  Råttfångerskan (生身の囚人)2009

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(1)    ウィキペディア、スウェーデン語版、「Inger Frimansson」の項。

(2)    Die Katze, die nicht sterben wollte, btb Verlag, München, 2005

 

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