世界地図のジグゾー

 

「できた〜!」完成した世界地図のジグゾー。

 

 スミレは、休暇中に完成させるべく、ジグゾーパズルを持ってきていた。「世界地図」の五百ピースのやつである。世界地図、結構簡単そうに思えるが、ロシア、カナダ、中国など大きな国は、ベタッとした感じで結構難しい。何より難しいのは、「海」である。膨大な数の青いピース。わずかな色の違いで、それが太平洋なのか、大西洋なのか、インド洋なのか、判断しなくてはいけない。初日の夜から、スミレがやり始め、時間のある人が、少しずつ手伝うという「共同作業」で、リビングのテーブルの上にある世界地図は、すこしずつ大きくなってきた。エンゾーも、

「触っちゃいけない。」

という雰囲気を察したのか、触ることも壊すこともせず、横で車で遊んでいる。

 三日目である。その日は、ボチボチ疲れが出て来たのか、エンゾーの機嫌が良くない。朝から、何度も泣いてはバタバタになっている。

「気にすることはないよ。子供はみんなそうなんだから。」

とゾーイに言う。実際、うちの子供たちも、幼いときは、よく泣きわめいていた。特に、普段大人しかった真ん中のミドリが泣きわめいたときは、「野獣」のようだった。そんな話をゾーイにする。

 ワタル家族は、今日首都のカリアリに行く予定だったが、エンゾーの機嫌が悪く、なかなか昼寝をしなかったので、出そびれてしまった。それと、午後は余りに暑すぎて、外出する気にならない。エンゾーではないが、僕たちも「シエスタ」決め込む。

午後遅く、四時ごろになって、ワタル一家とマユミは彼らの車で岬の先にある要塞を見に行った。僕と、娘たちは、スーパーマーケットのある町のビーチに行く。天気の良い土曜日の午後、その日も、砂浜は賑わっていた。前回コルフ島で気付いたのだが、最近ヨーロッパでは、女性のビキニの後ろの部分が、どんどん細く、狭くなってきている。つまり、お尻が全くと言っていいほど、隠れていないのね。イタリア人のお姉さんたちは、黒髪で、黒い瞳、細身で皆可愛い。そんなお姉さんたちのお尻についつい見とれてしまう。

「ホンマ、目の正月やわ。」

 午後六時半ごろ、ワタルたちと、僕たちがほぼ同時に別荘に戻って来た。今日の「シェフ」はワタルである。メニューは「ステーキ」と、「ムール貝のワイン蒸し」。アシスタントを仰せつかったのは僕で、付け合わせを担当、「フライドポテト」と「サラダ」を作ることになった。エンゾーが眠った後、八時ごろから夕食になる。料理をしながら、ビールを飲んでいる僕は、満腹と赤ワインで、夕食後直ぐ眠くなり、眠ってしまった。

 少し眠って、気が付くと十一時半だった。リビングに行くと、スミレとワタルが、真剣にジグゾーに取り組んでいる。見ると八割がた完成している。兄妹で、協力して何かする、悪くないんじゃない。

 

ホント、海岸にいると目の保養ができる。

 

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