変わり行くポーランド

 

 

飛行機が離陸したのが午後十時。

「よく飛んでいただきましただ。有難うごぜえます。」

そんな気分になる。二時間の飛行の後、十二時に到着、と言いたいところだが、英国とポーランドには一時間の時差がある。ポーランドの方が早い。それで、着いたのは午前一時。入国審査を通り抜けてタクシーに乗ったのが一時半。寝るのは二時を過ぎるだろう。いくら、夕方に少し眠ったと言っても、さすがに疲れてきた。まあ、明日は八時に起きればよい。数時間は眠れる。

「ポーランドでは何語を使おうか。」

僕は道中ずっと考えていた。僕は、残念なことに、ポーランド語が一言も喋れない。十七年前にワルシャワに行ったときに、英語が通じず、苦労したのを覚えている。駅で切符を買うにも駅員に英語が通じなかった。ここはドイツが近いから、ひょっとしたらドイツ語の方が通じるかもね。空港から乗ったタクシーの運転手は、三十歳ぐらいの男性。

「ドイツ語と英語のどっちで話したらいい?」

とドイツ語と英語で聞いてみる。英語が良いという。それも、メチャ上手な英語で答えが返ってきてびっくり。

「運転手さん、英語上手だね。」

と褒めてあげる。

「最近の若い世代は学校で英語を勉強しているので、皆これくらい英語が話せますよ。」

とのこと。時代は着実に変わっている。

「ドイツ語はどうなの。」

と聞いてみると、

「ドイツが近いからドイツに働きに行っている人が大勢います。そんな人はドイツ語を話すけど、英語の方が一般的ですね。」

という答えだった。

運転手が言ったように、ポーランドからの出稼ぎ労働者がヨーロッパを席巻している。ポーランドはEUの一員だから、ポーランド人が英国やドイツで働くのは全く自由。ビザも労働許可も何にも要らない。それで、英国では多くのポーランド人が働いている。その数何と百万人。僕の住む小さな町にも、ポーランド食料品店が二件あり、スーパーにはポーランド食品コーナーがある。配管業、建設業、農業で働く人が特に多いようだ。それとポーランド人の看護師も多い。

 もうひとつ驚いたのは暖かいことだった。真夜中なのに、気温がまだ十七度ある。

「ポーランドってこんなに暖かいんですか。」

と運転手に聞く。

「今日は良い天気で、四月としては暖かい日でした。でも、明日は雨で、また寒くなるようです。」

と彼は答えた。そう言えば英国も暖かい週末だった。

タクシーは旧市街に入った。ホテルの前でタクシーを降りる。フロントは閉まっていたが、鍵は守衛さんが預かっていてくれていて、僕はその鍵で部屋に入る。疲れているが、アドレナリンが出ているのか、眠るのに少し時間がかかった。美女に囲まれている夢を見た。

 

 

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