伏見稲荷

北陸新幹線の金沢開業までのカウントダウンを示す掲示板。

 

「新幹線」(ブレット・トレイン)はある意味で、日本の象徴です。富士山をバックに新幹線が走る写真が、日本を紹介するポスターによく使われています。日本では、自分の住む町に、「新幹線」が通るということは、大変なことらしいのです。二〇一五年の三月、東京からの新幹線が金沢まで延長されます。長野オリンピックのあった一九九八年に、長野まで開業した新幹線が、いよいよ金沢にやってくるのです。金沢の街のあちこちに、新幹線のポスターや垂れ幕が下がっていました。新幹線が自分たちの町を通ることは、住民にとって、とても誇らしいことのようです。

 しかし、この新幹線、しばしば政治家の人気取りに利用されているようです。一九八二年に東京から新潟という西海岸の町まで新幹線が建設されました。その計画を聞いた私は、正直、耳を疑いました。

「どうして新潟なの?」

新潟の方には悪いのですが、新幹線でつながれば、もっと便利になり、経済活動にも貢献するような、より大切な都市が、当時日本にはまだまだ沢山あったからです。答えは簡単、当時、首相にもなった某政治家が新潟出身だったのでした。

 昔、ある首相が、自分の選挙区であるとんでもない田舎に、国の予算で鉄道を建設しようとしたそうです。さすがに呆れた野党の議員が、国会の審議で、

「そんなところに鉄道を敷いて、サルでも乗せるつもりですか。」

と皮肉ったそうです。すると、その首相は涼しい顔で、

「国有鉄道の規則では、ペットは列車に乗せてはいけません。」

と答えたとか。政治家というのは、「煮ても焼いても食えない」(救いようのない)人たちなのですね。

話は前後しますが、十二月三十日、母の家から妻と一緒に京都駅に向かう時、タクシーの運転手と話をしました。京都は、紅葉のシーズンも終わり、次の梅や桜の季節まで比較的静かで、タクシーの運転手にとっても、暇な時期だそうです。そのとき、米国の某旅行専門誌のランキングで、二〇一四年に、京都が人気観光地ランキング世界一になったという話が出ました。前年は四位だったそうです。ちなみに、二位はロンドンでも、パリでも、ニューヨークでも、ベニスでもありません。米国のチャールストンという町だそうです。(知っていますか?)そして、その京都の中でも、人気ナンバーワンとツーは「金閣寺」と「伏見稲荷」なのだそうです。この話を聞いて、今回は是非このふたつを訪れようという気になりました。

一月八日、まず伏見稲荷を訪れることにしました。京都の人は親しみをこめて「お稲荷さん」と呼びます。私の通っていた高校はその近くで、お稲荷さんは同級生の間でデートコースでした。オレンジ色の鳥居のトンネルはちょっと異次元空間という感じで、ロマンチックなデートにはよい場所なのでしょう。残念ながら、私自身はそこでデートをした経験はありません。

 

オレンジ色の鳥居のトンネル。異次元空間のようです。

 

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