復活祭!

 

妙心寺の前にあった、花好きのおうち。ここまでくると、立派というしかない。

 

「それにしても、外国人観光客、多いなあ。」

京都の街は、外国人の観光客で、溢れかえっていた。コロナ禍の前もそうだった。しかし、今回は、ちょっと違う。かつて隆盛を誇っていた中国人がほとんどいないで、欧米人が多かったのだ。それもそのはず、欧米では、復活祭休み。いわゆる「イースターホリデー」、学校が二週間お休みなのだ。そもそも、僕が今回帰って来られたのも、復活祭休みで、授業が三週間なかったから。ちょうど入国制限がなくなり、日本の桜の季節が重なった。皆が日本に押し寄せるわけである。

京都駅の改札口、通過する人の半分は外国人に見える。窓口で指定席を買うのに、一時間以上待つ、そんな状態。金閣寺道のバス停は、余りにも乗り降りする人が多いので、バスが常に二、三台停まっているという状態。そもそも、一日に十万人の外国人観光客が日本に着いたとする。そのうちの八割は京都に来るだろう。そして、そのうちの八割は金閣寺を訪れるだろう。そう考えると、この混雑もうなずける。

 僕は、J君という高校生に、ロンドンで日本語を教えている。彼はユダヤ人である。

「来週から、イースター休みで、日本に帰るからね。三週間後にまた会おう。」

と彼に言う。

「僕の学校の行ってるユダヤ人学校も、ちょうどホリデーだよ。」

と彼。復活祭とは、文字通り、十字架に架けられて亡くなったイエス・キリストの復活を祝うもの。ユダヤ人は、そもそも旧約聖書しか信じていない。キリストの登場する新約聖書は関係がないはず。

「何の休み?」

J君に尋ねると、「パスオーバー」つまり「過ぎ越しの祭り」だという。「復活祭」と「過ぎ越しの祭り」が重なるのは偶然なの?という疑問が残った。

 その疑問に答えてくれたのは母だった。母は、キリストの死を記念する礼拝に僕を連れて行った。

「いきなり行っても、訳が分からんやろ。」

と、母はその日の午前中、キリスト最後の日と、復活についてのレクチャーをしてくれた。その結果、キリストが殺されるとき、彼とその十二人の弟子たちは、「過ぎ越しの祭り」を祝うために、エルサレムに来ていたことが分かった。

「なるほどね。それで、ふたつは一緒だったんや。」

 聖書のどこを見ても、キリストが何時生まれたかは書いていない。クリスマスが十二月の終わりにあるのは、中世ヨーロッパ土着の「冬至の祭り」に、キリスト生誕祭が相乗りしたからだと言う説が主流である。しかし、キリストが亡くなったのは何時かという点に関しては、「過ぎ越しの日」であることから、ピンポイントで特定できるとのことだ。今年は、それにイスラム教の断食月「ラマダン」も重なった。その前後の数週間、世界の半分の人以上の人が「お祭り」だったわけだ。

 

お坊さまは復活祭には関係なく、今日も修行励んでおられる。

 

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