午前四時のラッシュアワー

 

これが午前四時だって信じられます?

 

 今回、一週間の休暇を過ごすことになったのは、僕と妻、二人の娘。数日前から伝えられる、空港の混乱ぶりを伝えるニュースを見るにつけ、無事に飛べるか、かなり心配した。そして、僕たちのとった対策は・・・早目に空港に到着することである。

「誰でも考えつくけど、飛行機そのものがキャンセルになった際には、余り役に立たないな。」

と思いつつも、それ以外の方策も考えつかない。僕たちの飛行機がロンドン・スタンステッド空港を出発するのが朝の七時十五分。普通なら五時半ごろに着けばいいのだが、僕たちは二時間の余裕見て、朝三時半の到着を目指すことにした。僕の住む町からスタンステッド空港までは車で四十五分ほどかかる。それで、何と、夜中の二時半に出発することに。前夜、娘たちは二人とも、僕の家に泊まった。

予定通り二時半過ぎに車で家を出て、高速道路をスタンステッド向かうお。こんな時間に車を運転したことは今までにない。深夜の高速道路はトラックの天下であった。大型トラックが列を作って走っている。

「だから翌日配達が可能なのね。」

と僕は思う。最近、アマゾンなどの通信販売で注文すると、ほぼ翌日に配達される。これは、夜中に荷物をトラックに乗せて移動しているからなのだ。

三時過ぎに、ロンドンの環状高速から、ケンブリッジに向かう高速に入る。驚いたことに、もう夜明けが始まり、東の空が白んで来ている。先ほど十時過ぎにやっと暗くなったばかりなのに。六月の英国は、ほとんど夜のない世界なのだ。

「どえりゃあ人出!」

何故か僕は名古屋弁で驚いた。スタンステッド空港のターミナルビルに足を踏み入れたときだ。朝の四時前なのに、ラッシュ時のターミナル駅さながらの混雑。第一便が飛び立つのは午前六時。

「皆、考えることは同じやなあ。」

と思いながら、椅子は全て埋まっているので、床に座って待つ。

四時半に、航空会社のカウンターが開き、無事、チェックインを済ませる。前週、マンチェスター空港では三時間から四時間かかっていたという荷物検査も、一時間くらいで済み(速くてありがたいって思ってしまう)、五時半ごろにはターミナルビルに入った。こうなると、本当にラッキー、神に感謝という感じ。妻が作って来た握り飯を食べて、出発を待つ。僕は運転があるので、前夜十時過ぎには寝ていたが、妻は握り飯を作っていたので、一時間くらいしか眠っていないという。かみ

「ご苦労さん」。

飛行機はわずか十五分遅れで飛び立った。そして、ほぼ定時、十二時半にはケファロニア空港に到着した。心配が大きかっただけに、これほど到着して嬉しい事もなかった。

 

飛行機は、ドイツ、イタリアの上空を飛び、アドリア海からイオニア海へ。

 

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