馬も感染するの?

 

チャールズ皇太子の感染にも驚いたが、コロナ対策の責任者、ジョンソン首相、ハンコック保健相の感染には開いた口がふさがらなかった。

 

「馬も新型コロナウィルスに感染するの?」

と、知り合いの獣医さんに聞いてみた。

「馬と人間では、染色体がずいぶん違うので、感染する可能性は少ないと思うよ。ゴリラとか類人猿は、染色体が人間と似ているので、感染するじゃないかと考えられて、懸念してるんだよね。」

と言うことだった。アフリカ生活の長かった彼は、ゴリラが元気で乗り切れるかどうか、少し心配そうだった。ともかく、馬は感染しなさそうだし、午前中の馬牧場の作業はいつも僕一人だった。作業は、いつもゴム手袋をはめてやっているし、車で通えば、感染する可能性はまずないと言える。

「これほど安全な職場はないかもね。」

馬牧場で働くことを考えれば、スーパーに買い物に行く方が、危なそうだった。

ロックダウンが始まった時点でも、英国では、屋外でマスクをしている人は殆どいなかった。当然、日本のように、マスクが品薄になることはなかった。政府も、当時はマスクの着用を奨励することもなかった。

「ウィルスはマスクの目よりうんと小さいので、マスクをすることにより、ウィルスの侵入を食い止めることは出来ません。」

と言うのが、「科学的根拠」に基づいた、政府の公式見解だった。

「マスクでウィルスから自分を守ることはできないが、自分が感染していた場合、他人へ感染を広げることを防止できます。」

と、マスクの効果が見直されたのは、ロックダウンが始まって、一カ月以上経ってからだった。

 四月になると、英国の新型コロナ感染者とそれによる死者は、正に「爆発的に」増え、多い日には、一日五千人近い人が感染し、千人以上の人が亡くなった。三月二十七日の、首相のボリス・ジョンソンが感染したというニュースはまさに衝撃的だった。

「こうしたら、感染は防げる!」

と、自信満々に語っていた人物が、自らの感染を防げなかったのだ。そして、首相は四月九日に集中治療室に移され、医師団は、首相が死んだときの声明文まで用意したという。

 後になって、それ以前の判断を批判するというのは正しくないと思う。しかし、僕が前から思っていたこと。ジョンソン首相と英国政府が、三月時点で、二つの致命的な「読み違え」をしたことは確かだということ。ひとつは、ロックダウンをヨーロッパ他国と一緒に行わなかったこと。もうひとつは、症状のない感染者を野放しにしたことである。「他のヨーロッパとちょっと違うことをやりたい」という首相の変なプライドが、イギリスだけ二週間遅れのロックダウンとなり、何千人もの死につながった。また、感染しても症状のない人が半数近くいることが、「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客への調査で、二月の段階で分かっていた。しかし、政府は「症状のある人は自己隔離しなさい」と繰り返すばかり、症状のない人に対策を伝えなかった。そして、その間に感染は、山火事のように広がったのだった。

 

何か派手な奴かやってきたぞ。馬牧場の住人、キジさんです。

 

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