パレオカストリッツア

 

小さな湾が次々と現れる場所。ちょっと、三陸海岸に似ている。

 

 コルフ島で一番の観光地ってどこだろう。この島、島全体に、山、湾、ビーチが散らばっていて、

「あそこを訪れないで、コルフ島は語れない。」

そんな場所が見当たらない。その中でも、比較的有名な場所に、パレオカストリツアがある。しかし、この場所には重大な問題があった。それは名前を覚えられないということ。今も、日記に書いてあったのをそのまま写しているだけ、暗記をしてない。ドイツの「ノイシュバンシュタインジ城」よりも難しいのでは。僕の友だちで「ノイシュバンシュタイン」と間違えた人がいた。その場合は「白豚城」になる。ともかく、

「たまには観光地もええやろ。」

ということで、コルフ島に来て六日目、僕たちは昼前に車でホテルを出て、パレオカストリッツアに向かった。パレオカストリツアは島の西側にあり、島の東側にある僕たちのホテルからだと、山を突き切って行かねばならない。妻が運転、間もなく山道に入る。ヘアピンカーブを何度も抜け、道が下り坂になる。一時間余で、「Παλαιοκαστρίτσα」の標識が見えた。しかし、長すぎて、全部読む前に通り過ぎてしまう。

「なあるほど、こんな場所だったんや。」

これまでここへ来たことのある唯一のメンバー、スミレが説明してくれたが、イマイチピンと来なかった。そこは半島なのであるが、その半島の先に、更に小さな半島が突き出ている。その小さな半島と半島の間の湾に、小ぶりのビーチがある。全部で、七つの半島があるという。そのひとつひとつ湾、ビーチがなかなか可愛い。山がビーチのすぐ後ろに迫っており、青い海と、白いビーチと、緑の山が一緒に楽しめる。

「さすが、コルフ一の観光地や。」

湾に沿って車を走らせると、ホテルやアパートメント、レストランやカフェが立ち並んでおり、広い駐車場も作られていた。

一番奥の修道院の建っている半島まで車で上がり、半島の先に出てみる。例によって、そこには、ベネチア共和国時代の大砲が、海に向かって据え付けられている。モーターボートの真っ白な航跡が、濃い青い海を切り裂くように走っていた。

 修道院から降りて来た後、僕たちは、六つか七つある湾に沿ったビーチに陣取った。これまでは、自然の中の、人の少ないビーチにばかり行っていたが、今回は、「浜茶屋」というか、カフェやレストランが背後にあり、湾にはヨットやモーターボートが停まっていて、にぎやか場所である。当然人も多い。浜辺に寝そべりながら、周囲のお姉さんたちを見て過ごす。多くの若い女性が、後ろから見ると、お尻がプリンプリンと、半分以上見えるタイプの水着を着ている。

「目の保養やねえ。」

 

こんな水着が昨今はファッションなのかな。よろしいんじゃございません?

 

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