中国人は何故大声で話すのか

 

さあ、バスを待ちながら社会主義の核心を覚えよう!

 

「さあ、ここで問題です。万里の長城は人工衛星から肉眼で見えるでしょうか。イエス、ノーでお答えください。」

正解は、「ノー」である。僕は子供の頃、「万里の長城は、人工衛星から肉眼で見える唯一の建築物である」と聞いて、感心した覚えがある。それが、死ぬまでに一度、長城を見てみたいという考えにつながったのかも知れない。しかし、実際は、人工衛星から肉眼では見えない。結構な倍率の、望遠鏡が必要だという。

長城から、またリフトで下に降りてきて、妻と、

「涼しくてよかったね。」

と言い合う。今日は曇り空、昼から雨の天気予報。青空の下の長城の写真は素晴らしいかも知れないが、長城は稜線にあるだけに、晴れていたら日光を遮るものがない。階段を上るという運動量を考えれば、暑さで結構バテていたと思う。ミドリもゆっくりながら、予定の行程を歩けて、満足した様子。

シャトルバス乗り場に、社会主義のモットーが書かれた看板があった。思わず笑ってしまった。バスを待っている人に、社会主義の啓蒙をしようというわけね。中国が、いまだに一党独裁の国であることを思い知らされる。

その日は最後に、頤和園(英語でサマーパレス)に行った。皇帝が夏を過ごした場所だという。故宮、紫禁城は、緑もないし、夏は滅茶苦茶暑そう。それで、北京の郊外にある、緑と湖のある宮殿で、皇帝は夏の間執務をしたという。

中国の観光地はどこもそうだが、その日の入場者の数が、電光掲示板に表示されている。頤和園の入り口の表示は「入場者十一万人、退場者八万人、滞在者三万人」とある。中に入ってみると、この三万人と言う数が、宮殿の規模からして、いかに多いものであるかが良く分かった。故宮以上に満員。そして喧騒。確かに、湖があり、それに沿って中国風の建物があり、落ち着いて見られたら、良い所なのだと思うが。

個々の会話の音声レベルが高いのに加え、ツアーグループの説明が加わる。例えば、同じ一角に、複数の、例えば五組のツアーグループが来ているとする。五人のガイドが大声で説明する。中にはマイクロフォンを使っているガイドもいる。その五組の説明が交錯する中、宮殿の職員が、ハンドマイクで、

「立ち止まらないでください。」

などと、叫んでいる。とにかくもうすごい騒音で、ゆっくりと景色を見る雰囲気ではない。

 中国人観光客は賑やかである。京都などでも、「中国人はうるさい」と定評がある。何故、中国人はあのように大きな声で話すのか。自分が中国語を話してみて良く分かった。

「はっきり話さないと通じないんだ!」

中国語は、四つのアクセント、「四声」があり、それをはっきりと話さないと、単語が全く別の意味にとられる危険性がある。だから大きな口を開けて、明瞭に話すわけ。

 

頤和園(サマーパレス)。余りの喧騒に、皆少しお疲れの表情が。

 

<次へ> <戻る>