運び屋の報酬

 

ゲントの街の教会で結婚式に出会う。結構寒い日だったのに女性は結構大胆な恰好。

 

ここまで見せられると、当然のことながら、質問がしたくなるよね。

「でも、どうして僕にこの『実験』を見せたの?」

「モト、百万ユーロを君のスーツケースに入れて英国まで運んでくれない?手数料に三パーセント払うから。」

つまり、彼のビジネスとは、非合法な金の運び屋、それと「マネーロンドリング」、「資金洗浄」だったのだ。アフリカの政府の高官などが、賄賂や援助のピンハネ等、非合法に得た金をヨーロッパに運び、そこで非合法な現金を合法化し、不動産などに投資して、更に一儲けしようとする話、何度も聞いたことがある。もちろん、非合法な現金をあるから、輸送中に見つかればオジャン。でも、「白い紙」なら。例え税関でスーツケースを開けられても、現金だとは分からない。よく考えたものだ。

百万ユーロは、一億二千万円、三パーセントだと三百六十万円。

「悪いけど、僕、非合法なことには関わりたくないんだよね。それに、今別に金に困ってもいないし。」

と、丁重にお断りする。高々三百万円余りの金で「ヤバい橋」は渡りたくないもん。犯罪者になって一生を棒に振ったら元も子もないよね。でも、報酬が仮に三十パーセントの三千六百万円だったら・・・う〜ん、ちょっと考えるかな。翌日、チャールズは宿を出て、もう居なかった。しかし、あの偽装技術は完璧だった。すごい。

ミディ駅の近く、黒人や中近東の人が多いし、乞食やホームレスもあちこちで見かける。余りガラのよい場所とは言えない。僕の同僚は、治安が悪いという理由で、交通の便利さを犠牲にしても、ブリュッセルの別の地域で宿を取っている。そんな場所だから、ある程度は、非合法な活動をする人も住んでいるだろうと予想していた。そして、やっぱりそうだった。

ともかく、僕は金曜日の夜、アパルトマンの二階の部屋に入った。白い壁の清潔な感じの部屋。大きなテレビやキングサイズのダブルベッドがある。キッチンには食器類や炊事用具が揃っている。荷物を置いて、衣類をワードローブに掛けた後、夜遅くまで開いている駅の中のスーパーマーケットに買い物に行った。赤ワイン、サラダを買って来て、英国から持って来たインスタント焼きソバと一緒に、遅い夕飯を取る。

とっくに九時を過ぎている。今日は朝ダンケルクで目覚めて、そこで働き、夕方になりリール、そしてブリュッセルと移動、長い一日だった。こうして、ワインを飲みながらの夕食、安堵感が広がる。ユーチューブで「吉本新喜劇」を見ながらの食事。疲れているときは「吉本新喜劇」が一番。いつも同じ俳優が、同じギャグをする。どうなるのか分かっているので、安心して見てられる。スリルとサスペンスに富んだドラマ、確かに面白いが、本当に疲れているときには、筋を追うのも面倒臭くなる。夕食後、食器を台所に持って行って、ベッドに横になる。スッチーと吉田裕が「乳首ドリルせんのかい」ギャグをやっている。それを見ながら、いつの間にか眠ってしまった。

 

オランダやベルギーでは、人々が自転車に乗る感覚でボートに乗っている。

 

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