昼間の銭湯

 

前回、G君と会ったのは、一年前、ルワンダだった。

 

G君と会った。彼とこの前会ったのは、ルワンダである。彼は、JICAの仕事でルワンダに駐在していて、九月の初め、二年間の任期を終えて帰って来たのだった。彼には、世界中のあちこちで会っている。その前はヨルダンで、その前はソロモン諸島だったと思う。ポーランドにも行った。彼の任地を訪ねるのが、僕のライフワークのようになっていた。

昼過ぎに彼の実家の前で落ち合って、ふたりで歩き出す。中学生、高校生の頃、家が近かったせいもあって、彼とは休日や夜によく近所を歩いた。時々煙草を吸ったりして。場所は近くの低い丘、船岡山が多かったかな。今回も、ふたりの足は、大徳寺を抜けて、船岡山に向かった。頂上の、昔ラジオ塔と猿山があった場所から、京都が一望できる。

ふたりは、昔のように、京都の街を眺めながら、引き続き、自分たちの境遇のアップデートをしようと思った。

「わっ、痒い!」

木の多い船岡山は蚊のスポットでもあったのだ。こりゃ、ゆっくり話してはいられない。僕は一つのことを思いついた。

「ねえ、Gくん、これから銭湯いかへん?」

丘を下りたところに僕が毎日行く銭湯、船岡温泉があるのだ。

「ええよ。」

「タオルとかは、僕の母の家にあるから。」

丘を降りて、ふたりは船岡温泉の前に立つ。

「営業時間、午後三時から午前一時」

という札。時計を見ると二時半。まだ、開店まで三十分ある。僕らは、母の家で、少し待つことにした。母がG君に会うのは何十年ぶりであろう。

三時五分前になり、船岡温泉へ行った。もちろん、一番乗り!

「これが本当のセントウでんな。」

つまらないことを言いながら、中に入る。日曜日の午後ということで、早い時間にも関わらず、お客さんが続々と入ってきた。

サウナの中で、この前、彼と一緒に風呂に入ったのは何時かと考える。

「そう言えば、アンマンで『トルコ風呂』行ったよな。」

「トルコ風呂」と言っても日本の「特殊浴場」いわゆる「ソープ」ではない、若い女性ではなく「いかついお兄さんたち」が垢すりをしてくれる。

「それから、死海の温泉にも行ったよな。」

女の人が、服を着たまま、温泉に浸かっていたのを思い出す。

 昼間の風呂というのは良いものだった。露天風呂に入ると青空が見える。星空も良いけど、青空を見ながらのお風呂というのも良い。湯に浸かりながら、というのは、旧友と昔話をするのに、最高のシチュエーションのような気がする。楽しい午後のひと時。

 

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