京都観光

 

正直、金閣寺が観光スポット・ナンバーワンになるには、正当な理由があるのが分かる。理屈抜きで美しい。

 

話は一カ月前に遡る。僕は電話で、息子と話していた。

「パパ、僕たちとゾーイのお父さんお母さんを、一日、京都観光に連れて行ってくれない?」

「ああ、ええよ。それでどこが見たいの?」

ちなみにハンさん夫妻にとって、今回、日本は初めてである。

「嵐山、金閣寺、清水寺、伏見稲荷。」

サラッと言ってくれるじゃない。これに二条城が入ると、京都の人気観光スポットのベストファイブ。しかし、僕たちが中国へ行ったとき、息子たちが連れて行ってくれたのは、故宮、万里の長城、頤和園に北京ダック。北京観光スポット、ベストフォー。

「まあ同じようなものか。」

僕は一瞬困った。金閣寺は北、嵐山は西、清水寺は東、伏見稲荷は南。四人を連れて、公共交通機関を使って、京都の街を縦断横断して、一日で四つ回るのはかなり厳しいし疲れそう。僕は観光ハイヤーを使うことにした。しかし、五人ということで、普通のタクシーでは乗り切れない。僕はM交通の七人乗りのミニバスを予約した。そして、どの順番で、何時ごろから回り、どこで昼食にするかなど、「得意の」行動予定表を作った。

 彼らが京都に着いた翌日。八時半に、母の家の前までM交通のハイヤーが迎えに来る。若い運転手のMさんに、行動予定表を渡してコースと時間を説明する。

「時間的に、大丈夫ですかね?」

「はい、かなり余裕のある予定なので大丈夫です。」

Mさんの太鼓判をもらい、四人の泊まる旅館に向かう。

「おはよう!」

と言って入って行くと、ワタルが出てきて、ゾーイの体調が悪いので、自分も宿舎に残り、ハンさんとエレンさんだけが観光に行くという。

「昨日からゾーイはかなり疲れてたから。休んだ方がええよ。」

それで、僕たちは、七人乗りのミニバスに、運転手を入れて四人だけ乗って出発した。

 最初の目的地は金閣寺である。金閣寺は、何時行っても、メッチャ混んでいる。それで、朝九時の開門と同時に入ってしまおうという算段。九時少し前に駐車場に車を停め、入口へと向かう。入場券売り場の前には、百人くらいの子供たちが待っていた。

「今、修学旅行の季節なんですよね。」

Mさん。

「そうか、八月の観光シーズンは避けたと思ったけど、九月は修学旅行、金閣寺は何時も満員なんや。」

と言うことで、僕たちは百人余の子供たちと一緒に門を潜り、庭を散策することになった。運転手のMさんはガイドも兼ねていて、一緒に歩いてもらえる。的確な「写真スポット」をご存知なので、記念写真を撮るのにとても助かった。

 

おみくじを引くエレンさん。「吉」だった。殆ど漢字で書いてあるので、内容はほぼ理解できたという。

 

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